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「タキは大丈夫だ」クロップが信頼のハグ… リバプール南野拓実の「密猟者」な2ゴールと進化した《プレミア仕様のお尻と太もも》
posted2021/09/24 17:02
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
John Powell/Getty Images
この一戦に懸ける思いは、誰よりも強かったに違いない。
リバプールの南野拓実は、ここまで我慢の時を強いられた。7月下旬から始まったプレシーズンマッチでは5試合に出場し、2ゴールを奪取。在籍3季目で「勝負の年」となる今シーズンを迎えるにあたり、結果を残すことで最大限のアピールをした。
しかし1年前に国内王者に輝いたレギュラー陣の壁は、やはり高かった。
シーズン開幕からベンチスタートが続き、8月の出番は途中出場を含めてもゼロ。しかも、イングランドで公式戦出場のないまま参加した日本代表のW杯アジア予選で左大腿部を痛めた。試合数が増える時期での負傷離脱に、ユルゲン・クロップ監督は「代表でケガをして戻ってきた。良くないタイミングでケガを抱えた」と嘆いた。
幸いなことにケガは重症ではなく、リーグ戦の1試合を欠場しただけで戦列に復帰した。だが、CLミラン戦(9月15日)とプレミアのクリスタルパレス戦(同18日)もベンチスタートで、最後まで出番の声はかからなかった。プレシーズンが好調だったぶんだけ、出番が1回も与えられない現状に、本人も悔しさを募らせていたことだろう。
こうして迎えた9月21日のリーグ杯・ノリッチ戦。開幕から1カ月が過ぎたタイミングで、ようやく南野に初先発のチャンスが訪れた。結果を残して、もう一度アピールする──。26歳の日本代表FWは、覚悟に近い強い気持ちで臨んだはずだ。
リバプールのサポーター、エンブレムへの感謝
結果から先に言えば、南野は2ゴールを奪い、3-0の勝利に大きく貢献した。CKからディボク・オリジがヘッドで落としたボールを、素早く反転して決めた1点目(前半4分)。そして、スペースに侵入し、相手GKとDFの間合いとタイミングを外してから奪った2点目(後半35分)。いずれも、南野の持ち味がよく出たゴールだった。
1点目を奪った直後、南野はリバプールサポーターの下に駆け寄り、ユニホームのクラブエンブレムを叩きながら歓喜の雄叫びを上げた。
リバプール加入から半年後に決まったリーグ優勝時(20年6月)には「優勝の実感がない。まだこのチームで(自分の力を)何も示していない」と煮え切らない気持ちを明かしていた。それだけに筆者の目には、今回のゴール後の姿は「自分はここにいる」とサポーターに強く訴えているように見えた。