欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
開幕5戦未勝利のフランクフルトで鎌田大地が見せた新たなスタイル 指揮官も「あれほどプレーインテリジェンスのある選手は稀だ」
posted2021/09/25 17:01
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
長谷部誠と鎌田大地が所属するブンデスリーガのフランクフルトは、開幕から5試合を戦い、いまだ勝ち星がない。
9月12日に行われた遠藤航がキャプテンを務めるシュツットガルトとの一戦では、79分にフィリップ・コスティッチが先制点を奪い、82分には相手CBバルデマール・アントンの退場で数的有利となりながらも、88分に一瞬の守備の乱れを突かれてオマル・マルムシュに同点ゴールを許してしまった。
数的優位に立ちながらも勝ち切れず
ホームでの試合だけにファンからの大歓声のサポートも素晴らしかった。後半は完全に試合の流れを掌握していた。それだけに負けに等しい引き分けと言えるかもしれない。
フランクフルトのオリバー・グラスナー監督も試合後の会見で「結果にはがっかりしている」と切り出し、「序盤には危険なシーンもあったが、そのあとは試合の流れをうまくコントロールすることができた。しかも1-0として、数的優位にも立った。ところがサッカーとはそういうものかもしれないが、3、4分間急に受け身になってしまい、その時間帯に1-1とされた。それ以外の時間にはまったく受け身ではなかったのに」と、失点を喫したわずかな時間帯を悔やんでいた。
勝ち切れない試合が続いていることで、ドイツ国内では「試合を通しての安定感が足りない」という指摘がされている。
続く第5節ヴォルフスブルク戦も1-1で終えると、『ビルト』紙は「選手層が薄すぎる」「主力の調子が悪い」「新加入選手が馴染んでいない」と言いたい放題だ。
フランクフルトは、いままさに変革期にある。
監督とスポーツディレクター(SD)が同時に去った影響は小さくない。戦い方にしても、グラスナー新監督は開幕のドルトムント戦こそ昨季までの3バックを採用したが、この試合を2-5で落とすと、第2節からは4バックに切り替えている。
新監督の下で長谷部の出番は減少
グラスナー監督は、ヴォルフスブルク時代に見せていたような、組織立った守備から素早くゴールを強襲するスタイルを志向している。基本的な方針は、前任者であるアディ・ヒュッター監督と似ているが、より連動しながら組織として相手を追い込み、相手陣内でボールを奪い取ることを積極的に狙いながら、守備ラインが崩されずに対処できるようなチーム作りを進めようとしている。
試合を重ねることで、ボール奪取のプロセスはだいぶ機能するようになってきている。機能させるための選手起用もされている。ハイインテンシティでプレスを続け、ボール奪取後に的確な判断で攻撃に転じることができるか。このあたりが重要視されているようだ。そのため、中盤では長谷部やシュテファン・イルザンカーらが出場機会に恵まれていないというのが現状だ。