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「俺らにはトミヤスがついている♪」たった2戦で《冨安健洋アーセナル専用応援歌》爆誕… 監督・同僚・サポーターの期待と信頼が超デカい
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byStu Forster/Getty Images
posted2021/09/20 17:02
アーセナルでデビュー後2連勝。アルテタ監督のサムアップポーズが冨安健洋の評価を象徴している
肉弾戦でも攻撃面でもほぼパーフェクトだった
それだけに、イタリアから移籍してきたばかりの冨安が、ロングボール主体のバーンリーを相手に力強い守備を見せられるかどうかが、この試合のポイントだった。
実際、試合前にはメディアから「フィジカルの強いバーンリーが相手だが」と質問され、本人も「僕らにとってタフなゲームになるかもしれない。バーンリーは難しい相手。陣形をコンパクトに保ち、自分たちのプレーをしないと」と気を引き締めていた。
結論から先に言えば、冨安はほぼパーフェクトなプレーで敵の攻撃を寸断し、効果的な上がりとサイドチェンジで攻撃にアクセントもつけた。試合終盤はバーンリーの勢いに押され攻撃参加の回数が減り、冨安自身にも疲労の色が見えたが、それでも安定感抜群の素晴らしいパフォーマンスを披露した。
冨安のプレー位置は、4バックシステム(4-3-3)の右サイドバック。加入から2試合連続で右SBにまわったが、一般的に考えられるSBの役割とは大きく異なる。
アルテタ監督が採用するのは、左右の形が非対称で、攻撃時(3-3-4)と守備時(4-3-3)でも並びが変形する可変システムである。冨安は右サイドから中央に絞ってビルドアップに加わったり、右サイドで守備にまわったりと、状況に応じて広い範囲をカバーした。こうした高度な戦術を加入間もない冨安は素早く消化し、ピッチ上で見事に体現してみせた。
すべての空中戦とデュエルに勝利
だがこの試合に限って言えば、複雑なシステムに触れるよりも、肉弾戦と空中戦にことごとく勝利した冨安の守備能力に目を向けるべきだろう。
開始20秒で飛んできたロングボールに競り勝ち、前半39分のピンチの場面でも体幹の滅法強いFWアシュリー・バーンズ(186cm)を相手に、自身の体を投げ出してシュートをブロックした。こうした力強い守備を見せたかと思えば、読みの良さを生かして敵の攻撃を先回りして寸断した。
後半途中から投入されたコートジボワール代表の快速FWマクスウェル・コルネのスピードに手を焼く場面もあったが、冨安が突破される場面はほぼ皆無。英紙デーリー・エクスプレスのスタッツによると、冨安はすべての空中戦とデュエルに勝利したという。
それでいて、ビルドアップ時には適切な場所に動いてパスコースを作り、円滑なボールポゼッションに努めた。