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熱気の戻ったブンデスで遠藤航がいきなり主役に オリンピック疲れを感じせぬ「本物のキャプテン」の存在感 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2021/08/19 17:02

熱気の戻ったブンデスで遠藤航がいきなり主役に オリンピック疲れを感じせぬ「本物のキャプテン」の存在感<Number Web> photograph by Getty Images

開幕戦でいきなりゴールを奪った遠藤航。シュツットガルトのリーダーとして今季もその存在感は絶大だ

 開幕戦での大勝は喜ばしい結果だが、1試合に勝ったにすぎない。ミスリンタートは「勝点40の内の3を手にした。シーズンスタートを理性的に受け止めることができる」と冷静だった。

 勝点40。つまり、今季の目標である「1部残留」に必要とされる勝点だ。

 昨季のシュツットガルトは昇格組として十分な戦績を残した。ヨーロッパリーグに手が届きそうになった。そうなると「今季はヨーロッパリーグを目指す!」と考えがちになる。しかし、自分たちの立ち位置を見誤ってはいない。

 シュツットガルトには苦い思い出があるのだ。

磐田から加入した伊藤洋輝も評価を高める

 2017-18シーズン。2部から昇格した1年を7位で終えた首脳陣は、すぐに大きな夢を語り始めた。だが、歯車が狂い出し、翌シーズンは16位で2部へ舞い戻った。

 今のチームには資質もポテンシャルもある。ジュビロ磐田から移籍した伊藤洋輝は当初セカンドチームで経験を積む予定だったが、プレシーズンでのプレーが高く評価されて、ドイツカップの1回戦でスタメンフル出場を果たした。

 そんな才能豊かな若手が集まり、確かな手腕を持った監督・コーチがいる。とはいえ、毎シーズン安定して好成績を収めるためには、うまくいかないときでも粘り強く勝点を積み重ねなければならない。

 遠藤は、そのための要となる人間だ。旗頭としてチームを引っ張り、チームメイトの能力を引き出し、苦しいときに支えとなるように期待されている。

 試合後、ユニフォーム姿のお父さんが、手を引く子どもに熱心に話しかけている姿を見た。その背中には遠藤の名前と背番号。きっと頼りになるキャプテンのプレーについて話していたのだろう。

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