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熱気の戻ったブンデスで遠藤航がいきなり主役に オリンピック疲れを感じせぬ「本物のキャプテン」の存在感 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2021/08/19 17:02

熱気の戻ったブンデスで遠藤航がいきなり主役に オリンピック疲れを感じせぬ「本物のキャプテン」の存在感<Number Web> photograph by Getty Images

開幕戦でいきなりゴールを奪った遠藤航。シュツットガルトのリーダーとして今季もその存在感は絶大だ

 後ろに座っていた18歳くらいの少年グループは、遠藤が見せたサイドチェンジの瞬間、「ヘイ、今のエンドウのパス見たか? やばくない?」と興奮気味。「やばくない?」は完全に僕の意訳だが、そうしたニュアンスで言っていたのは間違いない。

 右隣は、大人しめな16歳くらいの少年。周りのファンが立ち上がってジャンプしながら盛り上がっていても、「俺はそんなふうにはしゃいだりしないぜ」という感じですまして座っていた。

一方的に攻め込み、5-1の完勝スタート

 しかし、そんなクールな彼も思わず立ち上がって、両手を振り回して大喜びしたのが、シュツットガルトの先制点の場面だ。

 決めたのは遠藤である。その時間帯まで昇格組であるフュルトの激しい守備に苦しんでいたが、味方選手がペナルティエリア付近でうまく起点を作ったタイミングで、するするっと相手の裏スペースに抜け出してきた。飛び出したGKの動きを完全に見切って、ふんわりとした極上のループシュート。

 この日のフュルトはマンツーマンで激しく当たっていたのだが、3バックのセンターが相手に引き付けられるシーンが目立っていた。両脇を固めるCBも、穴の開いたスペースをカバーする動き出しが遅い。そんな相手守備の弱点を見事についたゴールだった。

「衝撃的なゴールを決めたのは我らがキャプテン、ワタルーーーー!」とスタジアムDJがコールをすると、「エンドーーーー!」とファンがレスポンス。数列前でそれ以上力を入れられないだろうと思うくらいのガッツポーズで大喜びするおじいちゃんの笑顔が、とにかく印象的だった。

 先制点で完全にペースをつかんだシュツットガルトは、その後一方的に攻め込んでいく。試合終了間際に1失点したものの、終わってみたら5-1の完勝。ホームでの開幕戦をファンと一緒に祝うことができた。

 昨季のブンデスリーガでフル稼働し、6月のU-24代表戦でもプレーし、休暇もほとんどないまま東京オリンピックで3位決定戦まで戦った遠藤は、周囲の心配をよそに、普段通りの姿をピッチで披露してくれた。

【次ページ】 「彼のような選手がいることは素晴らしい」

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