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「世界一の速さ」と「キンちゃんみたいな獣性」主将リーチ マイケルが明かす2023年ラグビーW杯で勝つための準備
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJRFU
posted2021/08/10 11:00
欧州遠征を控えた合宿でトレーニングに励むリーチマイケル。ライオンズ、アイルランドとの対戦を経て、ジャパンの現在地を語った
「日本代表の魅力はダイバーシティ（多様性）を持ってワンチームを作ること。その価値は2019年に発揮できたと思う」
次はどんなメッセージを発したらいいか？ 生真面目なリーチはそれを考える。ラグビー日本代表の価値を、全国に向け、世界に向けて発信したい。だけど、そればかり考えて、ラグビーの原点を忘れちゃダメだともうひとりの自分が言う。
「原点はフィジカルバトル。それを忘れちゃいけない。ピッチに立ったらワイルドに、野獣にならなきゃいけない。キンちゃんみたいにね（笑）」
リーチは東芝と日本代表の先輩、大野均の名をあげて笑った。W杯3大会出場、日本代表史上最多98キャップを積み重ねたロックは、運動神経にも競技経験にも恵まれないながら、ピッチでは常に自分の獣性を解放し、フィジカルバトルに体を張った。リーチは自分もそうありたいと思っている。
カチカチのグラウンドに燃えた
23年W杯では前回の8強以上の成績が求められるだろう。達成には緻密な戦略も、育成計画も必要だ。だが、根本は選手個々の戦う本能であり、そこに点火するのが先頭に立つキャプテンの最大の仕事だ。
今回の欧州遠征。エディンバラに到着後、日本代表に与えられた練習用グラウンドの地面はカチカチに固く、ゴールポストも立っていなかった。
「ジェイミーはブチ切れてましたよ（笑）。『オールブラックスにはこんな対応しないだろ』と。でもそれは、僕らにはモチベーションにもなった。この扱いの中で勝ってやろうと」
実際に勝利を掴むところまでは残念ながら届かなかった。だが、自分たちの通じた部分と足りなかった部分、自分自身の課題と向き合えたことは貴重だ。それも、かつてとは違う、世界の強豪国と同じステージに立って感じたことだから、より価値がある。
9月に活動を再開する日本代表では、模範的リーダーの冠を外し、内なる獣性を解き放ったリーチの爆発が見られるだろう。
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