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《ラグビー》“親分”の負傷、集団感染、HCの場外乱闘? トラブル続きのライオンズ南ア遠征、最後は“デジャブ”で決着
posted2021/08/15 17:00
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Getty Images
多くのスポーツファンが東京オリンピックの終盤戦に沸いていた8月7日、“4カ国連合軍”ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズは、南アフリカ遠征の最終戦を迎えていた。
今回のメインターゲットである南アフリカ代表とのテストマッチ3戦は、初戦こそW杯王者相手に勝利をもぎ取ったが、最終戦は19-16で競り負けた。世界中のラグビーファンが注目する「4年に一度のドリームツアー」を悔しい結果で終えることになった。
《2021年ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ成績》
6/26 日本代表 28-10 ○
7/3 ライオンズ(南ア)56-14 ○
7/7 シャークス(南ア)54-7 ○
7/10 シャークス(南ア)71-31 ○
7/14 南アフリカ代表A 13-17 ●
7/17 ストーマーズ(南ア)49-3 ○
・・・・・
7/24 南アフリカ代表 22-17 ○
7/31 南アフリカ代表 9-27 ●
8/7 南アフリカ代表 16-19 ●
主将の負傷、相次ぐ日程変更
6月26日の日本代表戦を皮切りに、9試合に渡るツアーをこなしてきた2021年版ライオンズ。歴史的な一戦に闘志を燃やす日本代表――WTB松島幸太朗の鋭いラン、後半途中出場のNo.8姫野和樹のパワーを生かしたトライ――の追い上げを退け、幸先良いスタートを切った。
しかし、手痛いアクシデントもあった。
ライバル同士の面々を束ね、グラウンド内外で大黒柱としての役割を果たしていた主将LOアランウィン・ジョーンズ(ウェールズ)が負傷し、チームを離脱することに。さらには、日本戦の翌日に南アフリカへ出発し、スーパーラグビーに参加する南アの強豪クラブなどとのウォームアップゲームをこなしていたが、案の定、新型コロナウイルス感染者の発生など、不測の事態が続いていった。
たとえば、7月7日のシャークス戦に出場する予定だった選手1人に陽性者、8人が濃厚積極者と認定されたため慌ててメンバー変更を強いられたかと思えば、10日に予定されていたゲームはブルズ(南ア)側の集団感染により中止に。急遽、再びシャークスと一戦交えるという形で対応するなど、次々と計画変更を強いられた。
また、今回のウォームアップゲームの対戦相手が南アフリカの強豪クラブだったとはいえ、イングランド・スコットランド・ウェールズ・アイルランドの実力者たちが集うライオンズとのレベルの差は歴然で、4試合すべてで40点差以上の大勝。南アフリカ代表戦へ向けた準備となるような厳しい試合の経験を積むことができなかったのだ。