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リオ落選からの東京五輪「不安と闘った5年間」7人制ラグビー藤田慶和が今、思うこと《今後は再び15人制へ》
posted2021/08/02 11:00
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
「様々なものに打ち勝たなければ日の丸を背負うことも出来ない。(代表に)選んでもらえない。不安と闘った5年間でした。その状況に打ち勝てたからこそ今の自分がいて、精神的にタフな自分になれた。東京五輪を終えて今、そう思います」
ラグビーセブンズ代表の藤田慶和は、11位という結果に終わった東京五輪の後、すぐに前を向いていた。今大会の結果と自らの成長を冷静に分析し、来るべき次のステージへ歩を進めていた。
7人制にこだわる中で2016年のリオ五輪は直前に代表落選という苦渋を味わった。それでも藤田は東京五輪へ向け、7人制でのプレーにこだわり、諦めることなく代表を目指してきた。
「最後の1年は怪我に泣かされました。代表発表の直前まで自分の名前が呼ばれるのか怖かった。でも歩んできたこの5年間を信じました。16年から21年までの時間は日の丸を背負う事の大きさや重さや責任感を、より感じなければいけないと思う日々でしたね。僕自身も若手ではなく中堅となり、“自分だけ”ではなくチーム全体を考える立場に変わりました。正直に言って、大変だった。けれど今となっては一日一日が素晴らしい時間だったと思います」
フィジー戦に懸けていた
27歳の藤田は今大会、主将を務めた松井千士よりも年齢的には上。精神的にも戦略的にもリーダーシップが求められての代表選出だった。
「オープニングゲームのフィジーとの一戦に懸けていました。五輪を戦い抜く中で初戦が最も重要。しかも、相手は日本が過去に一度も勝ったことのない世界No.1チーム。ここを獲ることができれば確実にチームは波に乗れる、優位に五輪を戦っていけると思っていました。ラストワンプレーまで逆転できる自信がありました。しかし結果的には僕らのミスによって敗退。(ミスになった)あのラインアウトからのセットプレーは練習してきたサインプレー。ここを勝ち切れていれば結果は違ったと思います」