“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高校生・宮市亮の背中を押した本田圭佑の言葉とは? マリノスで誓う第二章、輝く目は10年前のあの時から全く変わっていない
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2021/07/10 11:05
中京大中京高2年の宮市亮。海外挑戦に迷いがあったが、本田圭佑の言葉に背中を押されてイギリスへ飛び立った
やはり失敗だったのだろうか――1人の高校生が不安を抱きながらも勇気ある決断を下した瞬間を目の当たりにした筆者がそう問われたら、答えは「NO」だと思う。
2010年3月、岐阜県で開催された全国高校サッカー選抜大垣大会(通称・大垣フェスティバル)。当時高2の宮市の心は大きく揺れ動いていた。
雨でぬかるんだピッチでも得意の快速ドリブルを繰り出し、何度も何度も相手ゴールに迫る。そのずば抜けた才能に多くのJクラブも獲得に動いており、そのことは周囲だけでなく、本人が一番よく理解していただろう。
それでも、そのちょうど2カ月前の1月にドイツ・ブンデスリーガのケルンの練習に参加したことで、海外挑戦への思いが強くなっていた。
泥だらけのユニフォームを脱いだ宮市に、葛藤する心のうちを聞いた。
「スピードは通用したので、やっぱり海外挑戦をしたいと思っている自分がいるんです。もちろん海外挑戦にはリスクがつきまとうことは僕もわかっています。でも、ケルンに参加してからその思いがどんどん強くなって……。今はその経験を基準にプレーしています。
日本で少しプレーをしてからでも遅くはないんじゃないか、という意見もあります。その意見は僕を思ってのことだと思いますし、自分の頭のどこかにも、最初はJリーグに進んだほうがいいんじゃないか、という思いがあるのは事実です。でも湧き上がってくるのは『チャレンジしたい』という気持ち。最終的に自分で決めなければいけないのですが……やっぱり迷います」