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「よその人間の口出しを許さない、限られた世界の…」“ヴェルディ育成主義の気風”に加わった外部の血、その化学反応とは
posted2021/07/11 11:01
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph by
Masashi Hara/Getty Images
東京ヴェルディのアカデミーが輩出した、森田晃樹、山本理仁、石浦大雅ら20歳前後の若き俊英たち。それぞれキックやボールコントロールに秀で、若々しく、ナイーブさを残す彼らのプレーはボーイソプラノの音色だ。東京五輪の次、2024年のパリ五輪の中心と目される山本は、先日のU‐24日本代表の合宿にトレーニングパートナーとして参加している。
ユース時代から手塩にかけて指導してきた永井秀樹監督は、就任3年目を迎えた今季、育成出身の若手の成長によって戦力を底上げし、主軸を担ってもらうことを期待した。
が、故障や体調不良などのアクシデントもあり、シーズン序盤の東京Vは下位に低迷。第5節のアルビレックス新潟戦では、0‐7の記録的な大敗を喫した。
初夏の季節、潮目が変わる。
第16節、ブラウブリッツ秋田を3‐1で下してから5連勝。一気に9位まで順位を上げた。今季のJ2は降格枠が4つある特殊なレギュレーションである。危険水域から距離を取っておくに越したことはない。
連勝の過程で、相手に先制されたら縮こまるリバウンドメンタリティの低さ、アウェーゲームの弱さといった昨季から持ち越されていた課題を次々に克服していく。
新風を巻き込んだ江尻強化部長の新戦力獲得
チームに新しい風を吹き込んだのは、今季から加入した加藤弘堅、ンドカ・ボニフェイス、山口竜弥、明治大から獲得したルーキーの佐藤凌我ら、異なるサッカー文化を背景に持つ選手たちだった。開幕には間に合わなかったが、快速アタッカーのジャイルトン・パライバをブラジルから2年ぶりに呼び戻せたのも大きい。
新戦力の獲得に向けて動いたのは、昨年からチーム編成の責任者に就いた江尻篤彦強化部長。永井監督の意向に加えて強化部としての指針を示し、ギリギリの予算をやり繰りして補強した。