代表合宿とはいえ練習もままならない状況で、目指すべき試合もない。

　紅白戦の後、すぐに解散となり、日立に戻って本格的な治療とリハビリを開始した。これまでもケガの経験は決して少なくなく、正セッターとしての定着が期待された2018年の世界選手権前にも肩を負傷し、出場がかなわなかった経験がある。

　復帰までの苦しさはわかっていても、地道にコツコツ頑張ればきっとゴールにたどり着く。吐きたい弱音も堪え、復帰の目標をリーグ開幕に合わせ、必死でリハビリに励む。

　だが、もがきながら進んでも、たどり着くのはゴールではなく、突きつけられたのはさらに厳しい現実だった。

　開幕1週間前の10月に、1セット程度なら試合に出場できるレベルまで持ち直したこともあり、バックアップ選手としてベンチ入りしたVリーグ開幕戦。急遽、途中出場することとなり、また同じ箇所を負傷した。2度目ということもあり、リハビリはより慎重に五輪も見据え、復帰は無理せず年明けを予定して取り組み、2020年が終わる頃にはゲーム練習もこなせる状態まで回復した。

気持ちが切れた腰の負傷

　出遅れはしたけれど、またここから。そう意気込んだ矢先、今度は腰が悲鳴を上げた。

「ヘルニアと腰椎分離すべり症、もともと腰が悪くていつかは手術をしなければいけないとわかってはいました。でも、それがこのタイミングで？　と思ったら、どうにも受け止められなくて。アキレス腱のリハビリから復帰を目指していた時は、その先にオリンピックがあって、焦る気持ちもあったけれど頑張れた。でも腰の時は無理でした。

　あぁ、もうダメだ、もう無理だ、って。大げさじゃなく、今までやってきたことが、これで全部なくなるんだ、と思いましたね」

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