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伸び盛りの19歳高橋藍は石川祐希と何が違う? 恩師も「あれはえぐい」と驚いた中国戦での巧みなスパイクを解説
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2021/05/07 06:00
初めての国際舞台とは思えない躍動を見せた高橋藍(中央)。新たな刺激を受け、さらなる飛躍を期待したい
中国との2戦を終え、両日共に高橋は試合後の記者会見に臨んだ。開幕まで2カ月弱余りに迫る東京五輪へ向けた新星の登場に浮立つ周囲をよそに、高橋自身はできたこと、まだ足りなかったことを冷静に受け止めていた。
「ブロックのシャットアウト数も含め、昨日に比べると(相手ブロックの)高さに対する打ち方は自分自身、よくなった感覚がありますが、勝負所のスパイクやサーブレシーブはまだまだ乱される部分も多かった。自分自身、レシーブが持ち味ではありますが、ブロックの手の先を狙ったり、外に出すブロックアウトの決め方も磨いて、スパイクでも負けないぐらいの力をつけていきたいです」
まさに今が伸び盛り。高校生の頃から練習熱心で、取材対応も丁寧かつクレバーな返答ができる選手だったが、日本代表という新たな場所で経験を重ねることで、発する言葉や見据える先にまた少し「変化」が加わった。
「大学生で日本代表、高校の印象もある中で注目していただけているのもありますが、それだけじゃなく、まず大学では頭一つ抜けた選手にならなければいけないと思うし、相手からは“高橋は止められない”、見ている方には“やっぱりずば抜けている”と思われるような選手にならなければいけないと思います。代表に選ばれたばかりの頃は『石川さんと対角を組むような選手になりたい』と思っていたけれど、それでは石川さんに追いつけないし、一緒にコートへ入れるレベルの選手にはなれない。そのためにはもっとトレーニングを重ねてパワーもつけなければならないし、課題はたくさんありますが、レシーブや、守備からの攻撃など、自分に強みもあると思うので、そこは自信にしたい。他の選手とは違う、『今までいなかった』と言われるような選手になりたいです」
どこまで進化は続くのか。恩師、対戦相手、そして激化するメンバー争い。言葉にならない感嘆の声が、至るところから聞こえてきそうだ。