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伸び盛りの19歳高橋藍は石川祐希と何が違う? 恩師も「あれはえぐい」と驚いた中国戦での巧みなスパイクを解説
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2021/05/07 06:00
初めての国際舞台とは思えない躍動を見せた高橋藍(中央)。新たな刺激を受け、さらなる飛躍を期待したい
1本目は11-11と同点で迎えた中盤、ラリーを制したレフトからのスパイクだ。
高橋同様、この国際親善試合が代表デビュー戦となったアウトサイドヒッターの大塚達宣(早稲田大学)がレシーブしたボールを、西田有志(ジェイテクトSTINGS)がコート後方からアンダーで対角線上の高橋に高くトスを上げた。
助走も十分ではない上に、前方には2枚の高いブロックが並ぶ。決して簡単ではない状況で高橋はブロッカーの横を抜くクロススパイクを放った。12点目を叩き出したこの1本を中垣内祐一監督は「まさに彼の持ち味」と称した。
「高いボールから速いボールまで、彼はヒットする能力が非常に高い。体勢を崩したり、十分助走を取れなくてもヒットすることができる選手です。(初戦で決まった)ストレートのブロックタッチを取るスパイクは中国に読まれ、昨日ほど決まりませんでしたが、そうなっても臆することなくクロスへ打ち込む。19歳であそこまでプレーできる選手というのはなかなかいないのではないでしょうか」
東山高・松永コーチも「あれはえぐい」
2本目はその直後、13-12で日本が1点リードした場面だった。
中国のエース張景胤(ちょう・けいいん)が放ったスパイクを高橋自らレシーブ。高く上がったボールはセッターではなく、リベロの小川智大(ウルフドックス名古屋)がセット。西田も攻撃準備に入っていたが、小川はあえて自身に近い場所にいた高橋に上げた。高橋は後方からの難しいボールに身体を回転させながらスペースをつくり、ほぼ助走のない状況から肩を外旋させ、インナーに打ち込む。相手のレシーブしたボールはアウトになり、日本が14点目を挙げた。
うわ、とも、ぬお、とも言葉にならない声が漏れたこの1本。テレビで観戦しながら「あれはえぐい」と感嘆の声を上げたのは、高橋を指導してきた東山高の松永理生コーチだった。
「苦しい状況からでも打つために、スパイカーがいかに自分のスペースをつくるか。もともと藍はストレート打ちが得意でしたが、クロスにしっかり叩けるように、スパイカーとブロッカーが台に上がり、お互いノージャンプでミットをつけたブロッカーを避けるようにインナーへ打つ練習もしてきた。その成果が、まさにあの1本で体現されていました」