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伸び盛りの19歳高橋藍は石川祐希と何が違う? 恩師も「あれはえぐい」と驚いた中国戦での巧みなスパイクを解説 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byTakahisa Hirano

posted2021/05/07 06:00

伸び盛りの19歳高橋藍は石川祐希と何が違う? 恩師も「あれはえぐい」と驚いた中国戦での巧みなスパイクを解説<Number Web> photograph by Takahisa Hirano

初めての国際舞台とは思えない躍動を見せた高橋藍(中央)。新たな刺激を受け、さらなる飛躍を期待したい

 2012年から17年まで中央大学で指揮を執った松永コーチは、東山高の外部指導者として月1〜2度指導に当たり、高橋が3年生となった19年に東山高のコーチに正式就任。高校生と大学生、もちろん強度は異なるが、ボール練習やトレーニング、中大で実際に行ってきた指導をベースに東山高に落とし込んできた。

 たとえば前述のブロックに対峙した場面でのクロス、インナーへの打ち方や、チャンスボールからの攻撃展開。特に重視したのが後衛時、バックセンターに入ることが多い高橋が、レシーブしてからも攻撃に参加する意識を高めることだった、と松永コーチは言う。

「最初はレシーブした後は(攻撃に)入らなかったんです。でもそれでは攻撃枚数が減るし、バックアタックは必殺技ではなく、入れるなら常に入る攻撃オプションの1つとして考えないと上のレベルでは戦えない。チャンスボールを取った後、藍がバックにいる時もセッターに上げさせ、とにかく攻撃へ入らせる意識をつけました。

 2年生になった頃には常にバックアタックへ入るのが習慣化され、自分から新しいことにチャレンジしたいと求めてきた。『ビック(後衛バックセンターから前衛の選手と同時に入るバックアタック)ってどう打つんですか?』とか、『この練習は石川(祐希)さんもやっていたんですか?』と事あるごとに聞いてくるようになりました」

 同じアウトサイドヒッターで、自身も「いずれは海外でプレーしたい」と望む高橋にとって、石川祐希は常に手本であり、いわばこれ以上ない“教科書”。松永コーチが続ける。

高橋にある再現力とは?

「石川と藍は似たタイプか?と何度か聞かれたことがあるのですが、僕の見方は違います。感覚やイメージを自ら体現できるのが石川で、藍は説明書や設計図を見ながらそれを忠実に再現して、そこから自分のイメージを膨らませていく。高校時代から石川と同じ練習、トレーニングをして、大学や日本代表でさらにたくさんの知識や、自分よりもっとすごい選手たちを間近に見て対峙する。今は彼にとって最高の教科書が揃った環境で、インプットしてきたものが一気に解放されている。藍にとっては吸収することしかないだろうし、日本代表を見ても石川が入ればまた別のバリエーションも生まれる。面白いですよね」

【次ページ】 少しずつ芽生える日本代表としての自覚

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