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石川祐希は憧れではなく、ライバルであるべき 海外挑戦へ警鐘鳴らす古賀太一郎の言葉の重み
posted2020/09/24 11:40
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Takahisa Hirano/AFLO
日本のリーグは5年ぶり。フィンランド、フランス、ポーランドの3カ国で5シーズンに渡りプレーした古賀太一郎が、今季は日本のVリーグへ復帰した。
しかもそれが、かつて在籍したウルフドッグス名古屋ではなく、FC東京に。
失礼を承知で言うならば、FC東京は上位争いを繰り広げるのではなく、下位争いに回ることが多い。さらに言うならば、環境も恵まれているとは言い難い。
優勝争いの大本命と挙げられるような大企業を母体とするチームの大半は、社業に時間を割かれることもなく、バレーボールに専念できる。一方で、FC東京の選手は皆、リーグ中も社業に携わる。それも1つの事業所、営業所ではなく複数の場所であるため、勤務形態も異なり、練習場所のある東京都内へ横浜での仕事を終えてから通う選手もいる。
これまで築いた古賀のキャリアから見れば、なぜFC東京なのか。至って単純な疑問をぶつけると、古賀はこう言った。
「一番は、監督の真保(綱一郎)さんがずっと声をかけ続けてくれて、自分も真保さんのコンセプトに賛同できるということ。必要とされるチームでプレーするのは、選手としてこのうえない幸せですから。いろんな選択はあった中、ここでやるのがベストだと判断したから、決めた。FC東京でやる、ということに迷いはなかったです」
襲い掛かったコロナウイルスの余波
欧州のクラブシーズンは9月から翌年の5月にかけて行なわれる。各国のカップ戦や、国内リーグ、チャンピオンズリーグなど複数の大会が行われる中、同時に翌シーズンに向けた戦力補強も始まり、選手たちは移籍市場を意識しながら戦い抜いていく。キャリアアップを目指し、より高値、好条件の契約を勝ち取るべく、エージェントを交えた移籍市場は活気を増す。
ところが、である。今年はコロナウイルスという強敵を前に、世界各国が思わぬ事態に見舞われた。それはプロ契約選手としてポーランドのザビエルチェでプレーしていた古賀も同様だった。