プレミアリーグの時間BACK NUMBER
史上最も過酷なプレミアで首位独走… 最強シティを支える不屈のメンタリティとは
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/03/23 17:00
公式戦21連勝を果たし、プレミアリーグ奪還が決定的となったマンチェスター・シティ。まさに“無敵”なペップのチームは今季こそ、CL初制覇という悲願を叶えられるか
負傷者続出。13位まで低迷した序盤戦
シティは、プレミアリーグで最大級の戦力を誇る。
先のフルアム戦にしても、リーグのサウサンプトン戦(5-2)とCLのボルシア・メンヘングラッドバッハ戦(2-0)にともに中2日で挟まれていたことから、スタメンは準1軍風だった。
ラヒーム・スターリングがベンチ入りも免除で完全休養した一方、先発したセルヒオ・アグエロは今季4度目のリーグ戦先発に過ぎなかった。
主砲アグエロは昨季終盤に負った膝の怪我で出遅れたうえ、復帰後にはハムストリングも痛めた。
ガブリエル・ジェズスも開幕早々の怪我で1カ月半ほど戦列を離脱。また、昨年9月の段階でイルカイ・ギュンドアン、リヤド・マフレズ、アイメリク・ラポルテなどにコロナ感染が認められ、シーズン半ばに起きた集団感染によって、練習施設の短期閉鎖まで余儀なくされた。
さすがに影響は大きく、11月21日にトッテナムを相手に今季2敗目を喫した時点では、リーグ順位も13位に落ちていた。
ところが、そこから不屈のメンタリティで順位と調子を上げてきたのだ。
“無双”の起点はペップの契約延長
きっかけは、やはりチームの精神面にインパクトをもたらした出来事。それが、トッテナム戦の前々日に決まったグアルディオラの契約延長だ。
どのチームでも、どの監督でも、契約最終年に入って去就が騒がれれば、配下の選手は気にせずにはいられない。グアルディオラほどの大物監督であればなおさら。2023年までの残留決定が与えた安心感と高揚感を軽視できない。
事実、続投が決まったグアルディオラ体制で本格的に臨んだ初戦と言える、同月25日のCLオリンピアコス戦(1-0)からシティは無敗街道に乗った。
タフなシティ。成熟を裏付ける「19/28」
シティは、これまでにもメンタルの強さを示してきた。
一昨季、リバプールとの大接戦に競り勝ち、リーグ優勝した際の14連勝ラストスパートが一例だが、王座奪回に向けてペースを上げてきた今季のシティは、2年前よりも精神的にタフなチームと見受けられる。
その証拠として、28戦無敗の中で19試合を数えたクリーンシートの多さが挙げられる。