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史上最も過酷なプレミアで首位独走… 最強シティを支える不屈のメンタリティとは 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/03/23 17:00

史上最も過酷なプレミアで首位独走… 最強シティを支える不屈のメンタリティとは<Number Web> photograph by Getty Images

公式戦21連勝を果たし、プレミアリーグ奪還が決定的となったマンチェスター・シティ。まさに“無敵”なペップのチームは今季こそ、CL初制覇という悲願を叶えられるか

CL制覇へ。“脆いシティ”はもういない

 グアルディオラのシティは、リヨンに後半8分間で2点差をつけられた昨季準々決勝に限らず、短時間内にバタバタと失点する癖が災いして、過去4年間のCLでベスト4の壁を破れずにいる。

だが、今季はボルシアMG戦第2レグで欧州での無失点も連続7試合に伸びた。グループステージ初戦(3-1)でポルトに許した先制点が唯一の失点だ。

 それでいて、ボールを持った際のポジティブなアプローチは変わっていない。

 前述したボルシアMG戦でのデブライネのゴールは、相手のゴールキックをストーンズが前方へ跳ね返したヘディングパスに端を発している。ギュンドアンがフィニッシュした2点目も、ストーンズが入れたクサビが攻撃のテンポを一気に速めた。

 攻守両面で不屈の精神を強く感じさせる今季のシティであれば、決勝トーナメントでの采配になると、考え過ぎが裏目に出ているとの指摘がある指揮官も、素直に最強メンバーを揃えて戦いに臨むことができるのではないだろうか。

 リーグ優勝が濃厚な国内での状況は、欧州で勝ち抜くことを意識したローテーションを可能にしてくれる。

「小煩い隣人」は夢を掴めるか

 4年間で3度目のプレミア優勝となれば、3連覇を実現した2009年のユナイテッド以来となる。当時の監督だったサー・アレックス・ファーガソンも、精神面の強さを重んじる指揮官だった。

 6年ほど前だが、1泊2日でマンチェスターまで聞きに行った講演会でも、当時の成功の要因として「メンタル・タフネス」という言葉を聞くことができた。

 5月29日、今季CL決勝が開催される日は、「不屈」を意味する『ネバー・ギブ・イン』をタイトルとするサー・アレックスのドキュメンタリー映画が、英国内でストリーミング公開される初日でもある。

 シティが欧州でも王座に輝けば、作品の中でも振り返られる黄金期のユナイテッドにも通じる強靭な精神力が、かつて地元の宿敵を「小煩い隣人」と嫌った名将にも認められることだろう。

 例年以上に過酷な条件下での今季プレミアリーグで、例外的に安定感を増す芯の強さを見せたシティには、リーグ王座奪回に加えCL初優勝の夢も十二分に現実的だという意識で、足取りも軽くラストスパートに入るだけの資格がある。

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