プレミアリーグの時間BACK NUMBER
史上最も過酷なプレミアで首位独走… 最強シティを支える不屈のメンタリティとは
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/03/23 17:00
公式戦21連勝を果たし、プレミアリーグ奪還が決定的となったマンチェスター・シティ。まさに“無敵”なペップのチームは今季こそ、CL初制覇という悲願を叶えられるか
精神面で強度不足のチームであれば、敵地で大物食いの餌食になっていたかもしれない。
立ち上がりから攻勢を続けながらもネットを揺らせず、逆にロングスローが放り込まれたゴール前の混戦からリードを奪われたまま時間が経過するという、典型的な大番狂わせのシナリオが進行していた。
それでも、シティはうろたえなかった。
指揮官が終盤に再びロングスローの機会を得た相手選手にボールを拭くタオルを手渡したように、真の格上らしく毅然とした態度で底力を見せ、終了間際の10分間で追いつき、追い越し、そして突き放した。
点取り屋として覚醒したギュンドアン
ギュンドアンは、チャンス創造源のケビン・デブライネがハムストリングの怪我で戦列を離れる中、その不在を感じさせなかった功労者の1人だ。デブライネ不在中に10ゴールを奪うなど、得点に絡む姿が目立つようになった。
単純に、同じ中盤でも以前より高い位置でプレーする試合が増えたという理由はある。両SBが中盤まで上がって中に絞ることで、自身が攻め上がる頻度も増えた。
ギュンドアン本人は「彼が出られないのなら、僕らがパフォーマンスを上げるしかない覚悟だった」と、デブライネが約1カ月ぶりにスタメン復帰した2月21日のアーセナル戦(1-0)前に説明している。
「デブライネ抜きの方がいい?」
また、「偽9番」役を含めて存在感を増したベルナルド・シウバ、昨季終了後にレアル・ソシエダに去ったダビド・シルバの後釜として主力に成長したフィル・フォデンの活躍もあり、SNS上では「シティはデブライネ抜きの方がいいのでは?」という冗談半分の議論も交わされるようになった。
その答えが「イエス」でないことは、今季CLで約4カ月ぶり3度目の出場となった3月16日のラウンド16第2レグでの姿からも明らかだ。
デブライネはボルシアMGのゴールに先制ミドルを叩き込み、MVP級の輝きを放ちながらベスト8進出に貢献。創造主の帰還はシティのファンを喜ばせただけではなく、彼らに初戴冠の夢を見せているに違いない。