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史上最も過酷なプレミアで首位独走… 最強シティを支える不屈のメンタリティとは
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/03/23 17:00
公式戦21連勝を果たし、プレミアリーグ奪還が決定的となったマンチェスター・シティ。まさに“無敵”なペップのチームは今季こそ、CL初制覇という悲願を叶えられるか
守備の引き締めには、ジョゼ・モウリーニョ率いるトッテナムにわかり切っていたはずのカウンターにより敗れた事実を受けての改善もあっただろう。
開幕2戦目で今季初黒星を喫したレスター戦(2-5)では、カウンターへの脆さのほか、守備のミスや意識不足も散見された。
そうした教訓を糧に、シティは相手を攻めあぐねたとしても焦らず、最悪でも負けはしないという気概を持ちながら、タイムアップまで勝利を目指し続けられるチームになった。
そう考えれば昨年12月、ユナイテッドとスコアレスドローに終わった敵地でのダービー1戦目の後に「将来的にも価値ある1ポイント獲得だ」としたグアルディオラの発言にも納得できる。
メディアは、アウェイとはいえペップのチームらしからぬ慎重な戦い方を批判していた。しかし、勝ち負けがチームの精神状態に及ぼす影響も大きいマンチェスター・ダービーで、国内外で5試合続いていた無失点を維持し、取り戻し始めた自信と安定感を失わないことを重視した姿勢は間違っていなかったのだ。
無敵を支えるCBコンビ
結果的にシティが20チーム中最少の21失点でリーグ戦30試合を終えている背景には、ルベン・ディアスという新戦力の存在もある。
ベンフィカから引き抜かれたCBは、昨季は埋められなかったラポルテ欠場時の穴を埋めているばかりか、守備陣でリーダーシップを発揮できる即戦力だ。
また、ディアスのパートナーを務めることが多いジョン・ストーンズは、これまでは集中力と判断力が問題視され、昨夏には放出対象と見られていたが、個人レベルでもタフな精神力を発揮して完全蘇生。新CBとのコンビで定位置獲得を果たしている。
4部クラブとの一戦で示した“精神力”
チームとしてのパフォーマンス自体が「鋼のメンタル」と評された一戦は、1月23日のFAカップ第4回戦・チェルトナム戦(3-1)だ。攻撃的サッカーの美しさや巧さが賞賛されるケースが多いシティとしては、珍しい褒め言葉である。
この試合、結果だけを見れば4部所属のチェルトナムを順当に下しただけに見えるが、「サンキュー・ジーザス(英語読みが「主イエス」と重なる)」と見出しを打った新聞もあったように、ジェズスの逆転ゴールに救われた際どい勝利だった。