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なぜバングラデシュに? 35歳日本人がサッカークラブ“市民兵”の主将として必死にスポンサー集めをする理由
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph byYusuke Kato
posted2021/03/16 11:00
加藤友介、1986年2月13日生まれの35歳。バングラデシュリーグで3季目を迎えたアタッカーは、主将としてチームをまとめる傍ら、財政難に苦しむクラブのためにスポンサー集めに奔走中だ
「バングラデシュ=加藤友介」
7カ国を渡り歩いてきた加藤だが、ここバングラデシュをキャリアの最終地点とする考えが頭を過り始めている。
「現在のスポンサーさんが支援を続けてくれる条件として、『加藤がいること』が挙げられています。それも5年スパンでという話も出ており、またクラブからも運営面に携わらないか、というオファーをもらっています。
実は今シーズンが始まる前、インドネシアへの移籍を考えていたんです。インドネシアのスタジアムの雰囲気、サポーターの熱狂はもう一度プレーしてみたいと思える国だったので。ただ、バングラデシュで存在感を示すことで、『この国の日本人=加藤友介』、になれる可能性も感じていました。他国では難しいですが、この国ならそのチャンスがある。
実際にバングラデシュの大臣を含む政治家、国の要人、企業の方とも何度か話す機会を頂き、日本ともっと繋がりたい、という話をもらいました。スーパースターでもないサッカー選手が、そこまで厚遇される国はたぶん他にないでしょう。あと5年はバングラデシュで戦い、この地の発展に貢献するのも生き方として魅力的だな、と考えが変わってきた。奥さんと子どもからは『勝手に決めないでよ』とは言われましたが(笑)」
1人の日本人サッカー選手が、クラブだけでなく、政治や企業も巻き込み日本との架け橋になる――試行錯誤を重ねながら加藤が歩んできた道程は、まもなくその集大成を迎えることになるのかもしれない。
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