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「アジア人はナメられてるから…」スペイン移住9年、元ヴェルディ46歳石塚啓次は19歳久保建英をどう見ている?
posted2021/02/20 17:06
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
J.LEAGUE/Daisuke Nakashima
幼少期、ディエゴ・マラドーナのプレーが好きで、よく見ていた。
ただ、若い頃から映画を見ることが好きだった石塚啓次(46歳)がマラドーナ以上に影響を受けたのは、映画界の鬼才とも言われるクエンティン・タランティーノだった。
「映画はいまでもよく見る。お気に入りの1本を挙げろと言われたら難しいけど、タランティーノの『パルプ・フィクション』(米国)とかは好きやった。音楽やファッションを含めてカッコよさがあったし、(音楽やファッションへの)興味の入口が映画だったというか。ただ、人生を変えたとか、そんな大げさなもんちゃうけどね(笑)」
94年公開の『パルプ・フィクション』はカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞でも脚本賞を受賞した名作。セクシーでクールなギャング映画のなかにバイオレンスとユーモアが同居する世界観は、どこかこちらが勝手に想像する石塚のイメージともぴったり一致する。
40代以上の読者なら映画ファンじゃなくとも、ベッドにうつ伏せ状態の女優ユマ・サーマンがタバコ片手に、こちらを睨むポスターを1度は見たことがあるのではないだろうか。
「ロールス・ロイスのエンジンが火を吹いた」
車も好きだった。ネット上ではヴェルディ時代の愛車は高級車で知られるロールス・ロイスだったとの情報もある。
「ロールス・ロイスは駒沢通りを走ってたらエンジンが火を吹いてもうて。中古で200万で買って100万は取り返したけど、乗ったのは3、4回だけ。初めての愛車は、80年代のベンツのワゴン。次がジャガーのXJ-Sで、同時に60年代のシボレーのサバーバンというでっかいやつにも乗って。それからダイムラーの4ドアのダブルシックスに乗っていたことも」
バルセロナに渡りうどん屋を営みながら現在も「BUENA VISTA」というアパレルブランドを手がけているが、その独特なファッションはもちろん、映画でも車でも、時代や周囲に流されることなく自分好みのモノをみつけ、愛してきたのが石塚流なのだろう。
シンガポール、アルゼンチン、イタリア……現役続行の道を探した
ヴェルディに所属していた印象が強い石塚だが、02年7月に退団したあとは、03年1月から川崎フロンターレ(出場機会なし)に、同年9月からは名古屋グランパス(リーグ3試合に出場)に、いずれも短期間ながら所属していた。