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「彼のやり方は適切とはいえなかった」パリ・サンジェルマン、レオナルドSDが明かしたトゥヘル監督電撃解任の真相
text by
パスカル・フェレPascal Ferre
photograph byL’Équipe
posted2021/03/14 17:02
「貴公子」と呼ばれたレオナルドもはや51歳。PSGのスポーツディレクターの任に就くのは2度め
パストーレはじめアンチェロッティ、チアゴ・シウバ、イブラヒモビッチ、ベッカム、カバーニ、ネイマール、ムバッペ、マルキーニョス、ベッラッティ、ディマリア、イカルディ、ナバス……。彼らがリーグアンに来たのは、QSIのサポートがあったからではないのか。
そろそろ金の話ばかりするのを止めて、PSGのサッカー全体への貢献を評価してもいいのではないか。海外におけるフランスサッカーのイメージを、PSGがいかに高めたかについて……。金銭面ばかり話題にされたカタールが、そのことに疲れ果てて撤退を決める日が来るかも知れないと、君らは想像できるかな?
クラブが常に直線的な軌跡をたどるとは限らない
――トゥヘルに話を戻しますが、解雇に躊躇いはありましたか。相次ぐ選手たちの怪我、ばかげたタイミングでの新シーズンの開幕――CL決勝からわずか18日後の開幕では、彼も立て直すための時間を確保できなかったのではないですか?
レオナルド たしかにさまざまな議論がなされたが、トップクラブはどこも同じだろう。バイエルンもCLを獲得するシーズンの途中に監督を交代した。ジダンがCLに優勝したのも、シーズン途中にレアルの監督に就任したときだった。クラブが常に直線的な軌跡をたどるとは限らない。
――シーズン途中の監督交代は、勝利への方程式ということですか?
レオナルド もちろんそうじゃない(笑)。クラブがそうした問題に対峙して、試行錯誤の末に大きな成功を得ることを説明するために挙げたにすぎない。ときにうまくいかないこともある。わかってもらいたいのは、そうした決断は絶対に軽率なものではないということだ。僕の哲学は監督や選手にも通じるものがあるが、クラブにこれから50年残るつもりですべてを考え行動している。なにごとも論理的であるべきで、わずか数週間ではなく長いスパンのすり合わせの末に決めるべきだ。
選手獲得や練習場建設に数百万ユーロを費やすクラブ運営は、気まぐれではできない。同様に監督の解任も、数分考えただけで決断できることではない。そんな軽い決断には何の意味もない! 監督交代は熟考を経たうえでの決断であり、交代以外にどんなオプションが可能かを検討しつくしたうえでの結論だった。前進すべきときに、理想的な解決策はないとわかったうえで決断し、行動しなければならないこともある。