フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「彼のやり方は適切とはいえなかった」パリ・サンジェルマン、レオナルドSDが明かしたトゥヘル監督電撃解任の真相
posted2021/03/14 17:02
text by
パスカル・フェレPascal Ferre
photograph by
L’Équipe
『フランス・フットボール』誌1月19日発売号では、パスカル・フェレ編集局長によるレオナルドのロングインタビューを掲載している。ここではそのほぼすべてを前後編に分けてお届けする。
昨年夏以降のパリ・サンジェルマン(PSG)は、良きにつけ悪きにつけ多くの話題を提供し続けている。はじめてのCL決勝進出と、コロナ禍の影響を受けたスポーツ面、経済面での錯綜、トーマス・トゥヘル監督の突然の解任……。いったいPSGに何が起こっているのか。
スポーティングディレクターを務めるレオナルドがすべてを説明した。下した決断とクラブの戦略について。そして野心に関して……。1時間半を超えたインタビューの前編の話題は、世界に大きな衝撃を与えたトゥヘル解任についてであるが、手を替え品を替え真相に迫ろうとするフェレと、丁寧に質問に答えながらも肝心な理由は明かさないレオナルドの駆け引きが面白い。(全2回の1回目/#2に続く・肩書などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
――まずはジョークから入っていいですか。トロフェ・デ・シャンピオン決勝(2021年1月13日、ランス。2対1でパリ・サンジェルマンがマルセイユに勝利)でPSGが敗れていたら、マウリシオ・ポチェッティーノ監督(1月3日に監督就任)を解任していましたか?
レオナルド (爆笑)ここ最近のPSGの歴史を振り返ったとき、10日で解任された監督はひとりもいない。トーマス・トゥヘルは2年半務め、ウナイ・エメリは2年、ローラン・ブランは3年だった。監督のサイクルはだいたいそのぐらいで、相互の関係が良好で監督自身のモチベーションも高ければ4年、5年と続いていく。しかしそこまで行くのは珍しく、アーセン・ベンゲルやアレックス・ファーガソンは非常に稀有な例だ。
PSGは勝つために戦いの場にいる
――真面目な質問を始めますが、あの勝利はPSGにとって象徴的な意味を持ったのでしょうか。新しい年を迎えるにあたりどうしても必要な勝利でしたか?
レオナルド あのタイトルは僕らがなぜ戦いの場にいるかを思い起こさせた。それは「勝つため」だ。勝利が次の勝利を呼び込む。無観客の異様な雰囲気のなかであっても、小さな勝利ではなかった。トロフェ・デ・シャンピオンの獲得は、この奇妙なシーズンを乗り切るうえで重要だった。僕らはCLラウンド16に進出し、リーグでも好位置を占めている。繰り返すが僕ら以外の誰がそこまで行ったのか。