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レジェンド葛西紀明が1年ぶりの表彰台 強化指定から外れても貫いた「自分を信じて」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PHOTO
posted2021/03/08 06:00
札幌五輪記念ジャンプ、ノーマルヒルで3位に入り、笑顔を見せる葛西
06年のトリノ五輪で日本選手団の成績が伸び悩んだ理由として、各競技でベテラン選手が多いことが理由のひとつにされた。五輪後の3月に開かれた日本オリンピック委員会の会議では、元首相の森喜朗氏がこう主張したという。
「オリンピックに2回出てもだめなら、3回目は出さないとか、若い選手に経験を積ませるのはどうか」
その後、海外から日本代表ヘッドコーチを招いたとき、そのコーチはベテランを軽視するスタンスをとった。
何度も世代交代を迫られる局面があった。
それらの出来事について、葛西がひるむことはなかったし、跳ね返してやると気合いを入れた。そしてこうも言っていた。
「自分を信じていますから」
今なお、その思いは変わっていない。
「還暦ジャンパー」と呼ばれたい
平昌五輪でメダルを獲れなかったあと、即座に葛西は言った。
「(2022年の北京五輪は)絶対に出ます。次は絶対にメダルを獲るという悔しい気持ちが出ています」
目指す舞台は来年に迫る。
葛西は2月のラジオ番組で本田圭佑と対談し、トークの中で「『還暦ジャンパー葛西紀明』って呼ばれたい」と語っていた。
意欲に衰えはない。