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田中希実(21)vs廣中瑠梨佳(20)、“19人が周回遅れ”の新谷仁美……「神回だった」日本選手権を振り返る
posted2020/12/07 17:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Takao Fujita
日本記録の更新が4つ、東京五輪の代表内定者3名――。
歴史的なタイムと東京五輪の代表内定者が生まれた今回の日本選手権は、実り多き素晴らしい大会になった。
先陣を切ったのは、女子5000mの田中希実(豊田自動織機TC)である。
田中(21)vs廣中(20)ハイレベルな戦いの末……
田中は、積極的に先頭に立って攻めのレースを見せる廣中璃梨佳(日本郵政グループ)の背後について冷静にレースを展開。残り1000mからは一騎打ちになったが、ラスト1周の鐘が鳴ると廣中がスピードを上げる中、田中もスパートするタイミングを見計らった。
そして、バックストレートに入ると一気にスピードを上げ、ピリピリしたデッドヒートを繰り広げながら廣中を置いていった。今年、1500m、3000mで日本記録を更新したスピードランナーだが、そのスピードの「余裕度」を見せ、15分05秒65で優勝、女子5000mの東京五輪代表の内定を決めた。
19人を周回遅れにした新谷仁美
女子10000mでは、新谷仁美(積水化学)が400mを73秒ペースで走り、途中から一人旅になった。21人が出走中、19人を周回遅れにする圧倒的な走りを見せ、30分20秒44で18年ぶりに日本記録を更新、女子10000mの東京五輪代表の内定を獲得した。スタート前は表情が険しく、不安を隠せなかったが、レース後は「自分が納得できるレースができた」と終始笑顔だった。