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【インタビュー】原辰徳監督「110球くらいで『あ~っ』なんていう投手をオレは先発には使わない」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/02/27 11:04
ドラフト1位の平内龍太投手(手前)の投球を見守る宮本和知投手チーフコーチ(左)と原辰徳監督
「全くその通り! だから僕は選手にキャンプ初日のミーティングでもはっきりそう言いました。今年は起用する選手の数は減るよ、そういう野球をするよ、と。そのためには1人1人が自立した、強い選手でなければならない。
いままではみんなの力をオレが合わせて総合力という形でチームを作ってきた。しかし短期決戦ではそういうチームは脆さが出る。だから今年は強い選手集団を目標にする。先発投手なら相手チームに先に点を与えない。そうすれば長く投げさせることもできる。110球くらいで『あ~っ』なんていうピッチャーをオレは先発には使わない。バッターだってそう。先発メンバーはとにかく先に点を取る。そうすることで10人、あるいは9人の野球ができる。そういうところを徹底していこうじゃないか、と。その考えが桑田真澄という人間をスタッフとして迎え入れるべきだということに繋がった部分もありますね」
――日本シリーズのあの結果があったからこそ、桑田招聘という考えが生まれた?
「そういうことですね」
「常にチームをゆり動かしていかなければならない」
――敗れたことがチーム進化への思い切った転換につながることにもなったということですね。
「やっぱり止まることはできないし、仮に日本一になったチームでも課題はあるはずです。ただ我々は敗者です。そこで僕はチーム戦略、戦い方として今年はこういうやり方でいくということですね。1年目の日本シリーズでも屈辱の結果に終わったけど、去年は同じような戦い方でいくしかないなというのがあったんですね。しかし今年は改めてそういうやり方ではなかなか難しいと。だからこういうチームを作ろうという決断になった。チームというのは今日より明日。明日になれば明後日です。そういうものを持っておかないと、それは停止ではなく衰退につながる。だから常にチームをゆり動かしていかなければならない」
新生巨人を目指して宮崎、沖縄と続いたキャンプでは、打線では新加入の梶谷隆幸外野手に加えて、身長2mの高卒ルーキー・秋広優人内野手(二松学舎大附属高校)が一躍脚光を浴びる存在になった。インタビュー最終回となる次回は梶谷の打順と秋広らの若手野手への期待を聞いた。
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