「左の横川（凱投手）だってチャンス出てくると思いますね。まだ未知の力だから、未知の力というのは僕らにとってはありがたいことなんですから。これまで先発を担ってきた投手というのはある程度、完成形を見せてもらっている訳ですよ。力も分かっている。そういう点では新しい力というのは未知数であり、魅力なんです。だったら力が五分と五分だったら新しい力を使いますよ」

畠、今村らに135球完投を実現する技術があるか聞くと……

――ただ戸郷や直江、横川だけでなく畠世周投手や今村信貴投手、桜井俊貴投手ら昨年の先発を担ってきた若手には、まだまだ桑田コーチの語る135球完投を実現する技術がないのでは？

「ない！」

――体力も……。

「ない！　しかしそこを目指そうと思わないとそういう風にならないですよ。だからどういう風に宮本と桑田が新しいタッグを組んで、杉内（俊哉一軍投手コーチ）……彼もそういう強さを持った投手でしたから……その強さをどう若手投手たちに注入して、どういう風なメンバーで先発を構成するのか。そこになりますね」

金田正一氏「1日80球も150球も変わりゃしないんだ」

――桑田コーチの発言で、巨人の投手陣の目標レベルは上がりましたね？

「金田（正一）さんは生前、僕にピッチャーのこと、野球のことを色々とお話ししてくださいました。そこで『ピッチャーというのはよく100球とか110球とか言っているだろう？　あんなのは違うんだ。1日80球も150球も変わりゃしないんだ。投げさせた方がいい。そうやって汗を出し切るんだ。その方が次につながる』とよく言っていました。それを聞きながら『そうなのかなあ、これは金田さんだから言えることなんじゃないかな』とも思っていた。でも桑田も同じことを言っている。彼の言葉を聞いて、金田さんの言葉も思い出しましたよ」

――レベルアップの手応えは？

【次ページ】　「動きそうで動かない。そういう野球を目指します」