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<バロンドールに代わって開催>世界139人のジャーナリストが選んだ「史上最強チーム」ベストイレブンは誰?
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byJMPA
posted2021/01/31 17:01
最優秀選手賞のバロンドールに代わって企画された“ドリームチーム”。世界139人の投票によって誰が選ばれたのか?
GKとDFは問題ない。多彩な攻撃のタレントをバランスよく分散させるために中盤を攻撃と守備に分けた。そしてFWが3人に。これが合理的であるのは、3-4-3でありながら、かつてのWMシステムにも4-2-4システムにも対応できることである。
その結果、リンクマン(攻撃と守備を繋ぐ役割)でありゲームメイカーでもあったジジやヨージェフ・ボジク、ヨーゼフ・マソプスト、ジェルソンらは守備的MFと同じカテゴリーに、WMシステムのインサイドフォワードだったフアン・スキアフィーノや《マジック・マジャール(MMシステムを採用)》で引き気味のセンターフォワードだったフェレンツ・プスカシュ、アルフレッド・ディステファノやペレ、ディエゴ・マラドーナは攻撃的MFに入った。それが守備的MFおよびリンクマンの地味なリストと、攻撃的MFの過剰なまでに豪華なリストの激しい落差を生み、個人的には守備的MFは選ぶ選手を誰にするか、攻撃的MFは落とす選手を誰にするかで苦労した。
ペレ、マラドーナ、ディステファノ、プスカシュを自動的にリストアップしたら、ミシェル・プラティニとジネディーヌ・ジダンのどちらかを落とさねばならない。理不尽を感じながら5人目を選んだ。
時代を感じる“ベストメンバー”「2つの驚き」
最大の驚きは、CFでロナウドが接戦の末にヨハン・クライフをおさえて1位を獲得したことだ。
たしかにロナウドは、プロパーのCFとしては能力的に他の誰よりも優れていたというのは多くの専門家が語るところである。だが、クライフは、ひとつのポジションを超えた存在であり、サッカーの革命児である。今日のサッカー(モダンサッカー)は彼のトータルフットボールとともに始まった。時代に与えた影響、サッカーの歴史のなかでもつ意味は、他の選手とは比較にならない。正直に言ってCFはクライフがダントツで、2位以下はエウゼビオ、ゲルト・ミュラー、マルコ・ファンバステン、ロナウドが横一線で、順位は好みの問題と思っていただけに衝撃は大きかった。クライフの現役時代を知らない記者が増えているとはいえ、編集部も予想していなかったのではないだろうか。
もう1つの驚きは、守備的MFおよびリンクマンの部門で、これも接戦とはいえシャビがマテウスを抑えて1位に選ばれたことだった。
たしかにシャビはこのポジションで卓越しているのは間違いなく、他の部門に比べ地味な顔ぶれが並んだ候補者リストのなかで、筆者は選ばなかったもののトップ5やトップ3に入ってもおかしくはない。しかし、では彼が、サッカー史上最高の守備的MFと言われたら、釈然としない思いを抱いてしまうのは筆者だけだろうか……。