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【誕生日】中田英寿44歳は未だ“唯一無二” 99年韓国戦の圧勝、01年フランス戦の大敗を再検証する 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byNaoya Sanuki

posted2021/01/22 11:00

【誕生日】中田英寿44歳は未だ“唯一無二” 99年韓国戦の圧勝、01年フランス戦の大敗を再検証する<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

1月22日は元サッカー日本代表・中田英寿の誕生日

 中田が攻撃を牽引する日本は、韓国を4対1で粉砕した。韓国から4点を奪ったのは74年の日韓定期戦以来、実に25年ぶりだった。Jリーグ開幕以降は日本が韓国を下す試合も増えているが、4得点を奪ったのも、韓国の監督に「すべての面で完敗だった」と言わせたのも、この試合だけである。敵将ホ・ジョンムはこうも話した。

「中田を抑えなければならないのは、もちろん分かっていた。そのための努力もした。しかし、彼を抑えることはできなかった」

期待されて強豪フランスと激突するも……

「対世界」で取り上げるのは、01年3月24日のフランス戦である。98年1月に完成したフランスの新たな聖地スタッド・ド・フランスで、当時のW杯王者にして欧州チャンピオンと日本が対面した。

 トルシエに率いられた日本は、00年秋のアジアカップで優勝していた。その直前にはU-23日本代表が、シドニー五輪でベスト8入りしている。

 ロジェ・ルメール監督が指揮するフランスとは、00年6月にも対戦している。ユーロ2000直前のスパーリング相手に選ばれた日本は、2対2のドローゲームを演じた。国際舞台で実績をあげてきたトルシエのチームは、フランスのホームでどこまでできるのか、との期待を抱かせていた。

 しかし、現実はシビアだった。

 開始10分にPKを献上し、ジネディーヌ・ジダンに決められて先制される。4分後、7万7000人の観衆が再び沸き上がった。ティエリ・アンリのシュートが、GK楢崎正剛のワキの下をすり抜けていった。

 ヨーロッパ各国リーグはシーズンの真っただ中だが、Jリーグは2週間前に開幕したばかりである。チームは19日に日本を発って現地でトレーニングをしていたものの、日本国内でプレーする選手たちはゲーム勘やゲーム体力を取り戻している過程にあった。

 不慣れなシステムもチームを苦しめた。代名詞の3-5-2ではなく守備重視の3-5-1-1としたことで、皮肉にもトルシエ監督が重視するオートマティズムを欠いてしまったのである。

 前半は0対2で持ちこたえたものの、後半はさらに3つのゴールを喫した。フランスがもう少しシュートを丁寧にしていたら、さらに2、3点を奪われていたかもしれない。

日本代表に厳しい評価が向けられるなか「ただ一人」

 試合翌日の現地スポーツ紙『レキップ』は、日本の選手に「5」以下の点数をつけた。全選手の平均は「4.11」だった。及第点の目安が「6」だから、厳しい評価が下されたわけである。

 ただ1人の例外は、中田だった。

【次ページ】 日本が生んだ“真のワールドクラス”

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中田英寿
中村俊輔
稲本潤一
遠藤保仁
中田浩二
柳沢敦
小野伸二
高原直泰
ジネディーヌ・ジダン

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