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ナダル&ジョコ撃破! メドベージェフvsティームの激闘2時間42分は今度こそ“世代交代”の一歩か
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byGetty Images
posted2020/11/25 11:00
ATPファイナルズを制したメドベージェフ。ティームとの激闘は2021年へとつながるはずだ
「とてもよく覚えている。クロアチアであったジュニアの大会で、僕は14歳だった。彼は(2011年の)全仏ジュニアで決勝まで行っていたし、出場自体が驚きだった。僕はチリッチの甥だったか誰かを倒した後、クレーでドミニク(ティーム)とやったんだ。0-2でたたきのめされたよ。それが最初の印象だね。
コートでの僕の態度はクレイジーで、今より10倍くらいやばかった。試合後、彼に言われたんだ。『君には将来性があると思う。でも、ちょっとだけ落ち着いた方がいいよ』って。ドミニクがこのことを覚えているか分からないけどね(笑)」
こうした背景を踏まえて見る頂上決戦は、ひと味違った楽しさを与えてくれる。
ティームもジョコ相手に劣勢を跳ね返し
一方、世界3位のティームは、今年の全米でグランドスラム初のタイトルを手にした。今大会準決勝のジョコビッチ戦では、最終セットのタイブレークで0-4の劣勢からリスクを負ったショットを次々と決め、ツアー通算300勝の節目を見事な勝利で飾った。
メドベージェフとは過去3勝1敗。準決勝で対戦した今年の全米は粘られながらもストレート勝ちしており、やや優勢かとみられた。
効果的だったメドベージェフの戦術変更
メドベージェフは第1セットを4-6で奪われた。序盤から得意のリターンを軸にブレークポイントを握るが、相手も簡単にはサービスゲームを破らせてくれない。第5ゲームは相手の強打と鮮やかなドロップショットに苦しみ、最後は根負けしたようにダブルフォールト。4-5の第10ゲームはセットポイントでティームのショットがネットをかすめ、ボレーを狙ったメドベージェフが体勢を崩す不運な形でセットを落とした。
第2セット。メドベージェフは少し戦術を変え、ネットプレーを増やし始める。これが効果的だった。第7ゲームでブレークポイントを握られた場面では、サーブ&ボレーを狙って前進し、相手のミスを誘う。揺さぶられたティームはチャンスボールでフォアのミスが出るなど、やりづらそうだった。
メドベージェフはタイブレークで意表を突くリターン&ボレーも見せ、0-2の劣勢から7連続ポイントでセットを奪い返した。