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ナダル&ジョコ撃破! メドベージェフvsティームの激闘2時間42分は今度こそ“世代交代”の一歩か
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byGetty Images
posted2020/11/25 11:00
ATPファイナルズを制したメドベージェフ。ティームとの激闘は2021年へとつながるはずだ
最終セットの勝負どころは第5ゲーム。バックのスライスでティームのフォアをネットにかけさせ、最後は巧みなアプローチからボレー。この試合で初めて相手のサービスゲームをブレークし、その後は疲れが見え始めた相手を手堅くラリーで攻め、振り切った。
「お祝いはしない」という新たな個性
「自分にとって最高の勝利の一つだと思う。2時間42分、素晴らしいドミニクを相手にね」
ではなぜ、派手に喜ばなかったのか。記者会見で問われると、また新しいエピソードが飛び出した。
「去年の全米で観客たちとタフな時間があった時、キャリアの中で多くのビッグタイトルを取ろうと決意したんだ。テニス選手では初めてじゃないかな。サッカーではゴールしても大喜びしない選手がいるけど。僕は勝ってもお祝いはしない。気に入っているよ」
メドベージェフの新しい「個性」は近い将来、ファンにお馴染みのシーンになっているかもしれない。
ベテランへの敬意を示しながらも決意
世界1~3位を破って頂点に上り詰めた24歳のメドベージェフと、1次リーグの「グループ・ロンドン2020」でナダルにストレート勝ちし、準決勝でジョコビッチを破った27歳のティームによる決勝は、世代交代の兆しを見せ始めている勢力図を象徴する。
ただ、シーズンの最終盤は特にベテランの疲労の色が濃くなる時期。準決勝でメドベージェフに敗れた後、ナダルは少し脚を気にしながら引き揚げていた。
近年、グランドスラムのタイトルをほぼ分け合っているジョコビッチ、ナダル、フェデラーの中で、2017年以降のATPファイナルズで決勝に進んだのは意外にも2018年のジョコビッチだけ。2017年からの王者はディミトロフ、ズベレフ、チチパス。一時期と比べて「ビッグ3」とそれ以外の実力差が縮まっているような顔ぶれになっているものの、この大会のファイナリストが翌年のグランドスラムの優勝候補筆頭というわけではない。
本人たちの言葉からも、30代の「ビッグ3」に対する尊敬の念と、次の時代を自分たちがけん引するという決意が示された。