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SB育成ドラフト3人がタイトル、打点王・中田翔&最多勝・涌井秀章の“史上初”とは 記録で2020パ総括 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2020/11/12 11:03

SB育成ドラフト3人がタイトル、打点王・中田翔&最多勝・涌井秀章の“史上初”とは 記録で2020パ総括<Number Web> photograph by Kyodo News

千賀滉大はパ最多勝を石川柊太らと分け合い、通算1000奪三振も達成した。周東佑京や甲斐拓也ら育成ドラフト勢が主力になっているのがホークスの強みだ

コロナがペナントの趨勢を決めてしまった

 それを横目に、ソフトバンクは10月に22勝4敗1分と歴史的な大勝をする。これまでNPBの月間勝利記録は1953年9月巨人(21勝5敗)、1954年8月中日(21勝4敗)、2002年8月西武(21勝5敗)が記録した21勝だったが、これを更新したのだ。対照的に10月、ロッテは8勝17敗と完全に失速した。

 端的に言えば、今年のパ・リーグはサイドバイサイドで秋口まで競り合ったのちに、10月からの1カ月で決着したと言っても良い。そして不幸なことに新型コロナウイルスが、ペナントレースに暗い影を落としたとも言えよう。

打点王・中田翔、史上初の事象って?

 ここからは個人成績を見ていこう。

<主な打撃タイトル>
・首位打者 吉田正尚(オ).350 初
・本塁打王 浅村栄斗(楽)32本 初
・打点王 中田翔(日)108打点 3回目
・最多安打 柳田悠岐(ソ)146安打 初
・最多盗塁 周東佑京(ソ)50 初
・最高出塁率 近藤健介(日).465 2回目

 オリックスの吉田正尚は、今季の個人目標として「打撃タイトル」を掲げていたが公約通り首位打者に。例年スロースターターで今年も6月は.270だったが7月.358、8月には.430と手の付けられない状態となる。

 本来であれば不動の4番になるはずだった新外国人のアダム・ジョーンズがやや期待外れに終わる中、相手投手のマークは吉田に集中。リーグダントツの17敬遠(2位はソフトバンク柳田の8)だったが、そのマークをかいくぐっての首位打者は見事の一語だ。

 本塁打王と打点王は、大阪桐蔭高校の1歳違いのチームメイトだった中田翔と浅村栄斗(中田が1歳年長)で分け合った。特に打点は1位中田が108、2位浅村が104に対して3位柳田が86と2人が突出していた。中田は安打数が105と打点を下回った。打点が安打数より多い打点王は史上初。RBI(打点)イーターの面目躍如だ。

【次ページ】 最多安打だけだったギータだが……

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中田翔
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