酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
SB育成ドラフト3人がタイトル、打点王・中田翔&最多勝・涌井秀章の“史上初”とは 記録で2020パ総括
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2020/11/12 11:03
千賀滉大はパ最多勝を石川柊太らと分け合い、通算1000奪三振も達成した。周東佑京や甲斐拓也ら育成ドラフト勢が主力になっているのがホークスの強みだ
涌井&千賀は凄いが、あのエースも……
涌井秀章は4回目の最多勝、1回目と2回目は西武、3回目はロッテ、そして4回目は楽天。「異なる3チームで最多勝」はNPB史上初の快挙だ。
投手部門はソフトバンク千賀が「投手三冠」に輝いた。しかし筆者は、今季パ・リーグ最高の投手は、オリックスの山本由伸だと思う。
パ・リーグのPR(Pitching Run)の5傑。PRは「(リーグ平均防御率-個人防御率)×投球回数÷9」で導き出せる投手の総合指標。である
1 山本由伸(オ)23.40
(126.2回/防御率2.20)
2 千賀滉大(ソ)22.89
(121回/防御率2.16)
3 東浜巨(ソ)20.14
(119回/防御率2.34)
4 石川柊太(ソ)19.91
(111.2回/防御率2.42)
5 ムーア(ソ)10.51
(78回/防御率2.65)
PRでは山本由伸が千賀をわずかに上回っている。山本由伸は最下位オリックスにあって、打の吉田正尚とともに奮闘していた。その一方で2位から4位まではソフトバンクの投手が続く。ソフトバンクの強みは、この圧倒的な層の厚さだ。
今季のタイトルホルダーの内、ソフトバンクの周東佑京、千賀滉大、石川柊太は育成ドラフトでの入団である。
筆者は今ドラフトで育成指名される選手の姿を目の当たりにした。本指名とは異なり、微妙な表情を浮かべたのが印象に残ったが、彼に才能とハートがあれば、どこまででも伸びていける。
ソフトバンクの育成出身選手の躍進は、それをはっきり証明している。