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阪神がドラフト1位、近大・佐藤輝明を引き当てたのは…監督が「“勝負パンツ”を封印した」から?
posted2020/11/01 11:03
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
KYODO
『ソフトバンク、祝勝会は約10分間の「新様式」 ビールかけ、飲食なし くす玉とクラッカーで喜び』
(スポニチWEB10月28日)
ここでも新様式でした。
工藤監督が開幕前のコロナ禍をどう過ごしたか。地元の西日本スポーツの記事が読ませた。
『異例のシーズン制した工藤監督、水面下の計算 自宅の壁に描いた構想』(10月28日)
《福岡の自宅内の白壁は、テープで張り合わせた20枚以上のA4用紙で埋まった。(略)その前に立っては、沈思黙考した。開幕日が未定な以上、実戦の段取りもない。その中で思いつく限りの日程を仮想し、調整のシミュレーションを繰り返した。》
開幕後しばらくは先発陣の球数を削減。打線に不可欠な柳田、中村晃は故障歴を考慮し、中盤戦からほぼ週1ペースでDH起用。
《2本の安定した「幹」があるから、日々つながりを求めた打順パターンは111試合で104通りを数えた。投手陣の安定と打線の勢いが支えた球団15年ぶりの12連勝スパートも、計算ずくだった。》
では、ベンチ内から見たホークスの強さとはなんだろう?
「これほど芯が1本通った1球団も他にはない」
昨年まで楽天監督を務め、今季からホークス入りした平石洋介打撃兼野手総合コーチのコラム『平石コーチが見た』(スポーツ報知10月28日)が面白かった。敵、味方として感じてきた印象を語っている。
《一番に感じたのは、経験豊富な野手が、ものすごくいい影響を与えているということです。例えば慶三(川島)。野球をよく知っていて、ベンチの空気を察することができる。チームの雰囲気が悪ければ、前へ向かせてくれるような声を出してくれる。その時、その時に必要な「声」。彼の存在は非常に大きいです。》
なるほどなぁと思ったのは今季大活躍をした周東についてのくだり。
《実は昨年、彼にスタート(先発)で出られるのがすごく嫌でした。振る力があると感じていて、実際にそうでした。》
敵として嫌だったことを実践。ホークスが平石コーチを獲得したのは大きな「補強」だったことがわかる。