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攻撃+手堅い“師匠モウリーニョ風” 2年目ランパード・チェルシーの「勝ちたければ守れ」
posted2020/11/03 06:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
監督就任2年目に顔を出した、フランク・ランパードの中に潜む現役時代の恩師。そう言うと、チェルシーに黄金期をもたらしたジョゼ・モウリーニョに対する敬意だけでなく、独立心も本物のランパードに怒られるだろうか?
それにしても2試合連続の無得点とボール支配率5割未満は、攻めの姿勢でプレミアリーグ4位につけた昨季にはあり得なかった事態だ。
10月20日にセビージャをホームに迎えた今季のCL初戦。昨季リーガ・エスパニョーラ4位を格下とみなす国内メディアは「不完全燃焼」と報じた。その4日後、敵地でのマンチェスター・ユナイテッド戦は「退屈」の二文字がソーシャルメディアに溢れる90分となった。
だがランパード自身は「納得」の二文字を口にし「大きな収穫」も強調。その理由は、モウリーニョの代名詞とも言うべき「無失点」にあった。
昨シーズンの失点数は多かった
ランパード体制で初となる2試合連続スコアレスドローは、攻撃の意気消沈ではなく、守備の意識向上と受け取るべきものだ。
セビージャ戦は、2度のリードをふいにした5節サウサンプトン戦(3-3)の3日後のこと。3失点は3-3に終わった3節ウェストブロムウィッチ戦に続いて今季2度目だった。
試合前の会見で報道陣に指摘されたように、昨季失点数「54」は、上位10チームで最も多い数字だ。それがサウサンプトン戦終了時点で就任から通算「63」に増えていた。1992年から始まったプレミアリーグで、チェルシー指揮官としては最悪の数字でもある。
ランパードは通算の被シュート数379本が、マンチェスター・シティの320本に次いでリーグで2番目に少ないと応戦した。とはいえウェストブロムウィッチとサウサンプトンに9本の枠内シュートを許し、6度ネットを揺らされた事実が守備の脆さを浮き彫りにしている。