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バルサ17歳新星ペドリって何者? “憧れのイニエスタ”と同じ才能を感じた、恩師の言葉
posted2020/11/02 06:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
今シーズンこれまでのバルセロナで最も驚いたのはペドリである。
ただ巧いというだけでなく、17歳で挑む初めての1部なのにプレッシャーを感じている素振りがまったくない。それより何より、カンテラ出身でもないのにバルサのサッカーに完璧に溶け込んでいる。
カタルーニャのスポーツ紙『レスポルティウ』の記者も不思議に思ったのか、本人に直接ぶつけて得た回答を紙面に載せていた。
「幼い頃からバルサの試合を観ていたおかげだと思う。気持ち良くプレーできるんだ」
テネリフェ島の家族もバルサファン
ペドリの家族は筋金入りのバルサファンだ。
アフリカ大陸の北西、大西洋上にあるカナリア諸島のひとつ、テネリフェ島の小さな町テゲステにあるバルサのペーニャ(サポーターズ・クラブ)は祖父が創立し、現在は父が会長を務めている。実家の台所にはバルサのエンブレムが入った皿やフライパンが揃っているという。
そんな家庭で育てられたペドリも当然、大のバルサ好きとなった。彼にとってバルサのサッカーは教科書だったのだろう。テレビ画面に映るピッチ上に自分を置いて、イメージトレーニングをしていたのかもしれない。
ペドリのまだ短いキャリアは「飛び級」によって特徴づけられている。
レストラン経営に転ずるまで3部リーグでプレーしていた父によると、町内のチームに加わったのは3歳のときで、リベロとして活躍し始めたのは4歳。14歳になると島随一の名門テネリフェからの誘いを断って、近くの町ラグーナのクラブに移り、翌年には大人に混じって地域リーグ(日本の5部に相当)の試合に出場するようになった。