得点に結びつく確率の高いプレーを

　1つひとつのプレーにも変化が出たと言う。例えば、角度をつけて相手のDFが届かない位置にトラップする。そして一気にスピードを上げて、確実に抜き去るシーンが増えた。

　これにより得点に結びつく確率の高いプレーを選択できるようになった。そして、北嶋と出会って2年目、J2では無双となる。全試合に出場し9得点12アシストで大ブレイク。この活躍が評価され、翌年にはG大阪のユニフォームを着ることになった。

　ただ、時を同じくして、J1昇格を決めた大分からもオファーを受けており、のちの移籍の縁となる。

片野坂監督の戦術に興味があった

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　田中が大分の一員となったのは昨季途中だ。初めてのJ1で思うような結果を残せずにいたときに西山哲平GMからのラブコールが届いた。

　北嶋の影響で自他ともに認める戦術マニアとなった田中には、片野坂知宏監督の戦術は興味深かった。

「（J2で）対戦したときから凄いと思っていたし、ずっと大分のサッカーは見ていた」

　移籍を決める際は「契約の内容より、iPadの戦術ボードを使ってずっと戦術の話をした。片野坂監督のサッカー観の話もしたかな」と西山GM。3時間に及んだサッカー談義を思い出し、笑う。

　片野坂サッカーの戦術を熟知する田中がチームにフィットしないわけがない。

積極果敢な動きでゴールを狙う田中

　移籍直後から試合に出続け、主軸になるには時間はかからなかった。そして満を持しての大分2年目。新たなポジションに挑戦し、2度目のブレイク。その後ろ盾にキタジあり。

　新たなポジションになっても自分の良さを消してはいけないとのアドバイスがあり、「できること、できないことを整理し、できることに集中した」ことが結果につながった。ゴールを決めたときは報告、連絡し、悩みや息が詰まったときは相談する。報連相（ほうれんそう）の実行は当たり前、上司と部下のような北嶋との関係は今も続く。

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