プロ野球亭日乗BACK NUMBER
“悪川君”が覚醒! 原辰徳監督も「救ってくれた」と最敬礼、吉川尚輝のきらめく野球センス
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/09/25 11:50
9月22日の広島戦で、サヨナラ打を放ち、ナインから祝福を受け笑顔の巨人・吉川尚輝(右から2人目)
「守備範囲の広さは広島の菊池に比肩する」
そして吉川が入ることで、もう1つ、巨人がさらに強くなるのが、内野守備の充実だ。
「彼の守備範囲の広さは広島の菊池(涼介内野手)に比肩するくらいのレベルにある。坂本との二遊間はいまの日本球界でトップクラスであることは間違いない。そういう部分で尚輝がセカンドに入るってことはチームにとっては大きい」
これも開幕前に「高みに上げていた」頃の原監督の評価だ。
実際に今年の巨人の強さは様々ある。ただ隠れた要素としては三塁の岡本の守備力の向上による守りの強化で、セイバーメトリクスの守備全般の指標であるチームUZRは12球団トップの38.1(数値は全て9月24日現在、DELTA社サイトから)。ちなみに2位がソフトバンクの34.7で3位が中日の20.4と続く。
実は去年の巨人のチームUZRは12球団5位だがポイントは0.6しかなく、今年の守備力の大幅な向上が独走の隠れた1つの要因であることが見えてくる。
今季、巨人の二塁は8選手が守っている
前述したように岡本の三塁守備が良くなり、ショートには安定の坂本がいる。昨年は最下位だった一塁の数値も今年は3.8と2位まで向上し、日替わりとなっていた二塁守備も12.7でトップ、守備範囲の広さを示すチームRngRも9.2でこれも12球団1位の数値を記録している。
今季の巨人の二塁は吉川を含めて北村拓己、若林晃弘、増田大輝、吉川大輝、ゼラス・ウィーラー、湯浅大、田中俊太と8選手が守っている。その総合力の高さを示す数値であることも確かだが、それと同時にこの8人の中での吉川の抜けぶりだ。UZR6.4、5.7はいずれもダントツ。ということは吉川が二塁に定着することで、最高の内野守備陣にはさらに磨きがかかるということになるのだ。