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堂安律加入ビーレフェルトは“不屈のアンダードッグ” 負債35億円、破産寸前からブンデス1部
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/09/19 11:50
ブンデス1部の舞台に臨む堂安律とビーレフェルト。アンダードッグとしての意地を見せられるか
昇格の立役者は60歳ノイハウス監督
今回、クラブを昇格へ導いた立役者の1人が監督のウーベ・ノイハウスだ。現在60歳。長い指導者人生で様々なカテゴリーの、様々なクラブで監督を歴任してきた。これまで1部リーグでの監督経験がなく、60歳にしてブンデスリーガデビューを飾ることになるが、気負いはない。
「もちろんブンデスリーガはいつでも私の目標で夢だった。でも、そのためだけにすべてをかけるつもりもなかった。それは私らしい生き方ではないからだ。自分にフォーカスを集めるために、ビッグマウスを口にしたりはしたくないんだ」
ビーレフェルト監督に就任したのは18年12月。2部リーグ16節終了時でわずか3勝の14位に沈んでいた。昇格どころか、降格を何とかしのがなければならない。だがここからビーレフェルトはノイハウスとともに上昇気流に乗っていくことになる。
「私の仕事は可能な限り早く順位を少しでも上にあげ、チームを新しい方向へ導くためのベースを作り上げることだったけど、それがものすごいスピードでうまくいったんだ。あのシーズンの後半戦におけるベストチームとしてシーズンを終えたんだからね。
チームに備わっていたもの、そして私がイメージするサッカーがパーフェクトにかみ合ったといえる。チームは安定した守備力を誇り、新しいことに挑戦する意欲に満ち溢れていた。このチームの吸収力は極めて素晴らしい。そして、この試みがすぐに結果と結びついたことも大きな助けになった」
2部で際立っていたチームの緻密さ
このシーズンを7位で終えると、昨季は15節で首位に立ったまま、最後までその座を譲らずに2部優勝チームとして昇格を達成した。
SDのサミル・アラビは「ハンブルガーSVやシュツットガルトが普通に力を発揮していたら、我々にはチャンスはなかったかもしれない」と振り返っていたが、最終的に2位シュツットガルトに勝ち点10もの差をつけての独走劇だった。チームとしての安定感、まとまり、プレーの緻密さは2部リーグでは際立っていた。だからこそ、ノイハウスは胸を張って明言する。
「私は自分の指導者としてのクオリティに一度も疑いを持ったことがなかった。足りないのはクオリティではなく、すべてがかみ合う機会だったんだ。その機会がくるのか、あるいはこないのか。そして私は幸運にもその機会を得て、目標に到達することができた。私にとってアルミニア・ビーレフェルトとはまさに相思相愛の存在といえるだろう」