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堂安律加入ビーレフェルトは“不屈のアンダードッグ” 負債35億円、破産寸前からブンデス1部
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/09/19 11:50
ブンデス1部の舞台に臨む堂安律とビーレフェルト。アンダードッグとしての意地を見せられるか
「リツはとてもトリッキーなプレーが」
昨シーズン、右サイドの攻撃的なポジションでレギュラー起用されていたジョナタン・クラウスはランスへ移籍。左サイドは一番手につけていたアンドレアス・フォグルザマーが現在故障で離脱中である。昨季31試合出場のセビオ・ソウコウ、アウクスブルクからレンタル加入のセルヒオ・コルドバらとともにポジションを争うことになるわけだが、個人でもチャンスを生み出せる可能性を持つ堂安は、すでに大事な戦力として計算されているようだ。
「リツはとてもトリッキーなプレーが得意なウイング選手。スピードがあって、ゴールゲッターとしても、アシストメーカーとしてもクオリティを持っている。オフェンシブなポジションならフレキシブルに起用できる点も魅力だ。アイントホーフェンでの準備期間にフルでトレーニングをしてきている。ここでもいい印象を残しているよ」
ノイハウスはそう評価を口にしていた。ドイツカップ1回戦のエッセン戦では「長く一緒にプレーしている選手を多く起用してチームのオートマティズムを大事にしたかった」と、ノイハウスは新加入選手のスタメン起用を2人にとどめたわけだが、それだけに最初から起用された堂安への期待度の高さがうかがえる。
敗戦はいただけないがポスト直撃シュートも
最初からすべてのプレーがスムーズにいくわけではないし、4部クラブ相手に負けたのはいただけないが、それでもポスト直撃のシュートや絶好機を演出するクロスを送るなどを披露していた。
ビーレフェルトのファンは大きなことを口にしない、どちらかというと謙虚なファンが多い。だからだろうか。見た目に派手なプレーよりも、実直なプレーが好まれる。チームのために汗をかき、臆すことなく立ち向かい、うまくいかないことがあっても何度でも食い下がり、あきらめずに戦い続ける選手をファンは愛する。
まずはそこだ。