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リバプール&マンC「2強時代」に割り込むのは……2020-21プレミア大展望
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/09/17 20:00
サラーらが繰り広げるリバプールの超高速展開か、デブライネら擁するシティの洗練されたアタックか。今季のプレミアも2クラブを中心に回るはず。
シティは手堅い補強+円熟のデブライネ
もっとも、最大のライバルであるマンチェスター・シティとの距離は遥かに短くなるだろう。2位でプレミア3連覇を逃した昨季も、アイメリック・ラポルテの長期欠場にはじまるCB陣の故障がなければ、より僅差の優勝争いとなっていたはず。
クロップのリバプール以上に容赦なく攻め続けるペップ・グアルディオラのシティは、3年連続でリーグ最多となる102得点で昨季を終えている。
補強も派手ではないが、CBの他に左SBとボランチでも使えるナタン・アケをボーンマスから引き抜き、レロイ・サネをバイエルンに売ったウィンガーの穴埋めには、バレンシアからフェラン・トーレスを獲得。「エル・マゴ」ことダビド・シルバは契約満了で去ったが(R・ソシエダ)、バトンは指揮官自らが「新マジシャン」として見初めていたフィル・フォデンに渡せばよい。
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そして攻撃のキーマンであるケビン・デブライネは、年齢的なピークの29歳。グアルディオラは、昨季CLで勝ち残ったことで1週間先送りにされた9月21日のウルブズ戦から開幕ダッシュへと鞭を振るうに違いない。
積極補強チェルシーとランパード体制2年目
同様に、残るトップ4候補もリバプールとのギャップを詰められるかというと、2年前に突入した「2強」時代はまだ終わりそうにない。先頭第2グループのリーダーと目されるのは、一昨季は72ポイントの3位で、昨季も66ポイント、4位につけたチェルシー。ただし、今夏の積極補強をもってしても、勝ち点を優勝の目安となる90ポイントへと一気に伸ばせるとは思えない。
9月14日の開幕節ブライトン戦(3-1)、RBライプツィヒから移籍したティモ・ベルナーは、先制のPKを奪うなど新CFとして10点満点で7点は与えられる出来で、バイエル・レバークーゼンから買い入れたカイ・ハフェルツも、まずは2列目右サイド起用で及第点のデビューを飾ったが、2-1とした後に2-2とされそうな場面もあったように、1、2点のリードでは安心できないチームの姿は昨季の延長線上にあった。
フランク・ランパードは、2億ポンド(約280億円)を越す補強に伴うプレッシャーの中で監督就任2年目を迎える。
ベンチで開幕を迎えたストライカーのタミー・エイブラハムの他にも、アヤックスから加入した新ウィンガーのハキム・ツィエク、パリ・サンジェルマンを出たCBのチアゴ・シウバといった新戦力のコンディションが整えば、レギュラー扱いだった昨季からの状況の一変にユース上がりの若手が不満を抱く内情とも向き合わなければならないだろう。