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内田篤人が日本のペップになる日まで。『スラムダンク』が彼と世界のかけ橋だ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/09/02 11:40
『スラムダンク』の魅力を語った内田篤人。バスケから、バドミントンから、柔軟にヒントを得ていった。
「『スラムダンク』のことわかってる?」
2015年、5月8日。シャルケのスタジアムに隣接されたホテル「コートヤード・バイ・マリオット・ゲルゼンキルヘン」の一室にやってくるなり、内田は言い放った。
「ミムラさん、『スラムダンク』のこと、ちゃんとわかってるの? オレの話に、ついてこれる!?」
幸いにして筆者も『スラムダンク』の狂信者だったので、基本的には対応できた。それでも、インタビューの準備として完全版を全巻読み直し、アニメ版までチェックしてきた内田の情熱にはおよばなかったのかもしれないが……。
「あのインタビューは生涯最高に楽しかったんです!」
最近、「Number」の編集者Tから興奮気味に電話をもらった。14年以上にわたり数多のトップアスリートのインタビューに立ち会ってきた彼は、9月10日発売の『Number PLUS』内田篤人引退特集号の制作のために過去の記事を読み直し、内田が『スラムダンク』について語ったインタビューの特別さを再確認していた。
インタビューの魅力は様々だ。震えるもの、感動するもの、聞くのが辛くなってしまうほどのもの……それぞれに味がある。
それでも、筆者も「もっとも楽しかったインタビューは?」と聞かれれば、『スポーツマンガ最強論』の目玉記事で、『スラムダンク』の魅力を内田が語ったインタビューだったと断言できる。
「やっても、観ても、超面白い!」
内田はずっと、こんな調子だった。
「大丈夫かな……。オレが、『スラムダンク』代表ってことですよね? プレッシャー、はんぱねぇって、スラムダンク読者からの!」
――内田選手とバスケットボールのかかわりは?
「オレ、デニス・ロッドマンが好きなんです。で、お父さんもあのときのブルズが好きで、けっこうTVで見ていて。オレは、『ロッドマンがすごいかっこいいな』と思って。彼をモデルにしたのが桜木花道なんだろうね。すげぇ好きだー、あの暴れん坊ぶりがね」
――かなりバスケを見ていたんですね?
「バスケはすごい好き。バスケって、NBAとか見ていても、けっこう最後は接戦なんですよね。2点差とか4点差とか。やってみても、超面白い。観ていても、超面白い!」
――バスケ部に入ろうと思ったことは?
「それはなかった。そこはサッカーだったね。子どものころ、足でボールを蹴り始めたんだろうね。でも、家にバスケットボールはあったから、寝ころびながら自分でシュートを打ってみたりすることはよくあったけど……」