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ネイマールも絶賛したアタランタ。
地方クラブの夢物語は終わらない。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/08/20 20:00

ネイマールも絶賛したアタランタ。地方クラブの夢物語は終わらない。<Number Web> photograph by Getty Images

CLで決勝進出したPSGを苦しめたアタランタ。ネイマールもそのチーム完成度を絶賛するほどだった。

来季もCLの舞台が待っている。

 マスク着用の割合は半分ほど、感染リスクがあっても彼らは駆けつけずにはいられなかった。町のヒーローたちを拍手で出迎えずにはいられなかった。

 多くの人が病魔に倒れ、打ちひしがれた小さな町のチームが、欧州の晴れ舞台で8強にまで勝ち進んだこのシーズンを、彼らはきっと忘れない。

 ペルカッシ会長は選手たちに特別ボーナスを出すことを約束し、昨年と同じく夏の移籍市場での主力放出を抑え、補強に努めることを宣言 した。今季、セリエAを3位で終えたアタランタには、2020-21シーズンのCLが待っている。

 一足早く母国で休養中のイリチッチは、目を丸くしているはずだ。開幕から3連敗後、イタリア紙インタビューに呆れ口調で応えていたのを思い出す。

「頭を切り替えて来年を目指すかって? あのね、馬鹿なこと言わないでくれよ(笑)。うちみたいな規模のクラブが、2年つづけてCLに出られるなんて天地がひっくり返ってもありえないんだよ」

 イリチッチの苦笑いはつまり、2018-19シーズンに自分たちがCL出場権を得たことは一種の奇跡で、地方クラブが2度くり返すことは不可能なほどの偉業なのだという自負の裏返しだった。

 それは、欧州サッカー界の経済的な現実に対する32歳ベテランの冷徹な見立てだったが、現実はときどきフィクションよりもドラマティックだ。

「敗北はない。勝つか、学ぶか」

 監督ガスペリーニは、指導者キャリア最大の決戦を前に己のモットーを強調していた。シーズン中ずっとくり返してきた言葉は、虚勢でも驕りでもなかった。

「パリSGとの試合がどう転ぼうと、うちに“敗北”はない。勝つか、(敗戦から)学ぶか。その2つしかないからさ」

 彼らはリスボンのホテルにジンゴニア練習場からコック長を呼び寄せ、トラック2台分のパスタや米、肉類やチーズといった食材を持ち込んでいた。それは、決勝戦の行われる23日までに必要だろうと想定された量だったのだ。

 いかつい顔に似合わず、ユーモアを愛するデローンは、“ピッツァ1000枚の公約”が、引き続き有効であることを強調する。

「(CL優勝を)来年また目指すさ!」

 アタランタの夢物語は来シーズンも続く。

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