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ネイマールも絶賛したアタランタ。
地方クラブの夢物語は終わらない。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/08/20 20:00

ネイマールも絶賛したアタランタ。地方クラブの夢物語は終わらない。<Number Web> photograph by Getty Images

CLで決勝進出したPSGを苦しめたアタランタ。ネイマールもそのチーム完成度を絶賛するほどだった。

カルチョの国の「責任」を背負い。

 パリSGのように年俸総額が3億ユーロを超える ユベントスは、伏兵リヨンに敗れて姿を消した。アタランタと比べて数倍の経営規模を誇るナポリも、バルセロナに打ちのめされ大会を去った。

 カルチョの国の看板を背負ったのはアタランタだった。

「欧州カップ戦とは無縁のクラブでも、理想を高く持ち、熱意と魂をもって戦い続ければ、このレベルに到達できる。それを証明するために、我々はここにいる」

 前日会見で“プロビンチャーレの名将”ガスペリーニは、責任という重い言葉を使った。

「プレーに理想があり、選手たちが一丸となってゴールを目指し続ける。そんなチームはきっと人の心を動かすだろうし、それが応援につながると私は思っている。だから、期待を裏切らないよう、パリSGとの試合で我々には“責任”がある。結果に対してではなく、プレーや戦いぶりに対する責任だ」

COVID-19が猛威を振るった地元。

 思いはリスボンから2200km以上離れた地元ベルガモに飛んだ。

 ベルガモのあるロンバルディア州は、イタリアでCOVID-19が最も猛威を振るう地域だ。8月16日時点の国内総死亡者数3万5392人のうち、1万6836人が同州で亡くなった。7月上旬の時点では、イタリアにおける新型コロナウイルス感染死亡者のうち、実に12.7%がベルガモの町に集中していた。クラブ関係者の多くも、親類縁者や友人を失っている。

「私も選手たちも、我々が何を背負っているかわかっている。明日は、日頃ともに歩んでいる町のためにグラウンドに赴く。そして、皆の代表として、笑顔で、胸を張って試合に臨むよ」(ガスペリーニ)

 当日、監督の古巣ジェノアをはじめ、イタリア中のあらゆる地方クラブが「アタランタ頑張れ!」とSNSで表明した。その夜、ベルガモの町で試合中継にチャンネルを合わせていない家は一軒たりともなかったはずだ。

 試合は残り10分を切り、快足ムバッペが何度も左サイドを崩し始めた。そして88分、フロイラーが左太ももを押さえてピッチの外に倒れ出た。彼がもう走れないことは、誰の目にも明らかだった。

【次ページ】 あと3分、凌げばよかったのだが。

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