球体とリズムBACK NUMBER
「カオス」で攻守無双バイエルン。
PSGとのCL決勝は垂涎の展開必至。
posted2020/08/21 11:50
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
オリンピック・リヨン 0-3 バイエルン・ミュンヘン。
ユベントスとマンチェスター・シティから立て続けに金星を挙げてきたオリンピック・リヨンも、盤石のバイエルン・ミュンヘンには敵わなかった。今年に入って全公式戦無敗、今大会では全勝を続けるドイツ王者は、この日もこれまでの試合と同様に複数得点を記録(10試合で1試合平均4.2ゴール)。クリーンシートは5度目だ。
ただし序盤の展開は、この最終スコアを予想させるものではなかった。
現に最初の決定機は、4分にリヨンが作り出したものだ。中盤でチアゴ・アルカンタラのパスをカットしたマクソンス・カクレが、前方中央で駆け出したメンフィス・デパイへボールを送る。リヨンの主将はCBの間から右に流れてGKマヌエル・ノイアーとの1対1を迎えるも、名手に距離を詰められ、窮屈な体勢からのシュートは右のサイドネットを外側から揺らした。
畳み掛けるリヨンはバイエルンの最終ラインの裏を狙い続け、デパイがシュート気味のクロスを放った後の17分には、ボックス右に侵入したカール・トコ・エカンビのシュートがポストを叩いた。
ピンチの直後、ニャブリが先制点。
バイエルンの面々は試合後、この時間帯に失点しなかったことを「ラッキーだった」と振り返ったが、ピンチの直後に訪れたチャンスはしかとモノにし、一気に流れを引き寄せている。
18分、ライトバックのヨシュア・キミッヒが、同サイド前方に抜け出したセルジュ・ニャブリに浮き球のフィードを送る。受けたニャブリはトーマス・ミュラーが空けた中央のスペースにドリブルで侵入し、ボックス際から利き足ではない左足で豪快な一撃を放ち、左のトップコーナーに突き刺した。