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ネイマールも絶賛したアタランタ。
地方クラブの夢物語は終わらない。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2020/08/20 20:00

ネイマールも絶賛したアタランタ。地方クラブの夢物語は終わらない。<Number Web> photograph by Getty Images

CLで決勝進出したPSGを苦しめたアタランタ。ネイマールもそのチーム完成度を絶賛するほどだった。

あと3分、凌げばよかったのだが。

“1-0(ウノ・ア・ゼロ)”の状況で、交代枠を使い切っており、実質10人の数的不利に追い込まれたアタランタは、誰に指示されたわけでもなく、自分たちが貫いてきた攻撃サッカーをかなぐり捨て"守り勝つ"という選択肢を選んだ。疲労困憊の体を引きずりながらボールを蹴り出し、執念を漲らせながら泥臭く足を伸ばした。

 アタランタは、やっぱりイタリアのチームだった。

 なぜか目頭が熱くなった。

 残すはアディショナルタイムだけ。あと3分、パリSGの攻撃を凌げばよかった。

 しかし……90分、マルキーニョスに同点ゴールを許し、3分後にはシュポ・モティンに逆転となる決勝弾を決められた。

 準決勝への切符を手にしたのは、最後まで攻めきるというアタランタ本来のスタイルを貫くことができたパリSGだった。

「アタランタは今大会のサプライズ」

 試合後、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたネイマールは、倒したばかりの敵へ賛辞を忘れなかった。

「グラウンドのあらゆるゾーンでプレッシャーをかけてきた。アグレッシブでものすごいサッカーをする。アタランタは今大会のサプライズだったと思う」

 試合終了の笛が吹かれた直後、GKスポルティエッロは膝を抱えて座り込んでしまった。脱力しきったサパタは、ベンチのフェンスに体をあずけたまま動かない。アタランタの選手たちの大半は、主将ゴメスのように放心したまま目を宙に泳がせていた。

 昨年9月に始まった、長い夢物語の幕が下りた瞬間だった。

 翌日の昼、帰路に就いたアタランタ一行を乗せたチャーター機はベルガモのオーリオ・アル・セーリオ空港に降り立った。

 UEFAと保健衛生当局のお達しによって、リスボンでのトーナメント出場クラブの出入国日時は極秘とされているはずだが、知り合いの知り合いを辿っていけばクラブの関係者にぶつかるような田舎町で、おらが町のチームの到着時刻が漏れないはずがない。

 突き抜けるような真夏の青空の下、到着した選手や荷物を積んだチームバスがゆっくり動き出すと、その先にクラブフラッグを振る若者や老人、赤ちゃんを連れた若いカップル、約200人の老若男女がいた。

【次ページ】 来季もCLの舞台が待っている。

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