プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア“真夏の移籍市場”が熱い!
マンUが狙うサンチョ、クリバリー。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2020/08/19 11:50
ドルトムントで一躍名を上げたサンチョ。復権を期す“赤い悪魔”の一員となるか、移籍市場動向から目が離せない。
マンUの金銭的体力は十分。
8月6日のリーグ会合では、再開時に3名から5名に拡大された選手交代枠の来季継続が11票対9票で否決された。その背景には、単純に選手層拡大での出費を強いられるのを嫌う中小クラブ勢のスタンスがあった。
そんな非常事態にあって、プレミアの移籍ビジネスも他のビジネスと同様と理解できる面もある。筆者の周りでも建設、デザイン業界で解雇の憂き目にあう知人が現れているが、一方で5月に営業再開が認められた不動産業界には、ちょっとしたブームが訪れている。
諸般の事情で物件を手放さなければならない者がいれば、それに乗じて手に入れたがる者がいる。それが市場の原理で、プレミア移籍市場においても、ここぞとばかりに買いに動く「持てる者」がいる。
その代表格が、監査済みの2018-19シーズンに国内トップとなる7億1100万ポンド(約995.4億円)の売上げを記録しているマンUだ。オーレ・グンナー・スールシャール監督も、「(他クラブの)事情につけ込む金銭的体力は十分だ」と語っている。
望外の3位で来季CL出場権も追い風。
トップ6が精一杯と思われた今季を望外の3位で終え、追加収入が最大で4000万ポンド(約56億円)程度のヨーロッパリーグ(EL)ではなく、9000万ポンド(約126億円)前後が見込めるチャンピオンズリーグ(CL)に出場できることもマンUにとっては追い風だ。
今夏の「買い物リスト」には前述のサンチョの他にも、攻撃陣では移籍金8000万ポンド(約112億円)とされるジャック・グリーリッシュ(アストンビラ)や、7000万ポンド(約98億円)のカイ・ハバーツ(レバークーゼン)がおり、守備陣でも6500万ポンド(約91億円)のカリドゥ・クリバリー(ナポリ)といった高額のターゲットが並ぶ。
ハバーツの獲得交渉をリードしてきたチェルシーも、コロナ禍で迎える移籍市場を補強の好機とみなしている。
今季は、昨夏に去ったエデン・アザール(現レアル・マドリー)と引き換えに8900万ポンド(約125億円)の移籍金を手にしながら、新戦力なしで4位に食い込んだ。そして今オフ、リバプール経営陣が二の足を踏んだ4750万ポンド(約66.5億円)を惜しげもなく支払い、RBライプツィヒからティモ・ベルナーを買い入れた。