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大阪桐蔭の短くて熱い夏が始まった。
甲子園の遠さを知る3年生が残す物。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNoriko Yonemushi

posted2020/08/04 17:30

大阪桐蔭の短くて熱い夏が始まった。甲子園の遠さを知る3年生が残す物。<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

大阪の独自大会、そして甲子園での交流試合。望んだものとは違えど、これもまた高校野球なのだ。

3年生の信念は2年生に伝わっている。

 例年の大阪大会の登録選手は20名だが、今年の独自大会は30名で、その中から試合ごとに20名がベンチ入りする。大阪桐蔭は、怪我をして出場できない1人を除く3年生22人全員が登録された。

「その時の調子のいい者で行く。総力戦で、6試合できるように頑張りたい。とにかく成長の場にしたい」と西谷監督。

 予定より7日遅れで迎えた初戦、初回は無得点に終わったが、2回表、5番に入った上野の2点本塁打を皮切りに、着々と得点を重ね12-0(5回コールド)で吹田に勝利した。

 絶望を経て前を向き、自粛期間中も目的を持って自主練習に取り組んだ成果が出た。本塁打を放った上野は、晴れやかな表情で言った。

「自分はリストが弱かったんで、腕の筋肉をつけて最後のボールの押しを強くすることで、長打力につながると思って、自粛期間中は意識して鍛えてきました。今日は最後押し込めたので、ホームランになった。良かったです」

 3年生の姿は、後輩たちに確実に何かを残そうとしている。 2年生の関戸康介はこう話す。

「去年までと全然違うかたちになって、3年生はすごく悩まれていたんですけど、それを乗り越えていこうっていう、3年生の強い信念というか、最後、高校野球にかける思いっていうのがすごく伝わっています」

 王者・大阪桐蔭の底力を見せる、短くて熱い夏が始まった。

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