大阪桐蔭だからこそ説得力がある声かけ。

　6月には大阪の独自大会の実施が決まり、春の選抜に出場予定だった32校による1試合ずつの「2020年甲子園高校野球交流試合」の開催も発表された。大阪桐蔭は東の強豪・東海大相模と対戦する。

　1年秋から3番を務めてきた西野はこう意気込む。

「甲子園で優勝するために大阪桐蔭に来たんで、それがなくなって全員ガッカリしたんですけど、交流試合をやらせてもらうことになって、『やっと甲子園でできる』って。そこはもうやらせてもらうという責任もあるので、全員で勝つことを目標にやります」

　西谷監督は、選手たちが前を向けるよう見守りながら、時期を見計らって、厳しい言葉もかけるようになった。プロ志望届を出すことを表明した西野、仲三河をはじめ、3年生のほとんどが高校卒業後も野球を続けることを決めているからだ。

「こんなことで負けているようじゃ、上に行っても通用しないぞと、今は毎日プレッシャーばっかりかけてます（笑）。コロナの影響で、大学行って活躍できないとか、そんなこと何の言い訳にもならないんで。厳しい言い方をすれば。

　やっぱりどこかに、3年生、残念だなという気持ちはもちろんありますけど、高校で野球を終わるなら別ですが、この先もやるということなので、ならばもっと上を目指してやろうと。そこは、うちは話をしやすいと思います。だから『上でやるなら、これじゃあダメだ』と、目標というか、物差しは、みんな今そこになっていると思います」

　だからと言って、この夏をただの通過点にはしない。

「せっかく作っていただいた大会。いつもより勝ちたい気持ちを持っています。（日本一に）関係ないから負けていいっていうような気持ちではやりたくない。3年生の意地というか、頑張りを、おおいに期待しています」

遅い夏の初戦は8月2日。

　8月2日、大阪桐蔭は、遅い夏の初戦を迎えた。

　大阪の独自大会は、出場校が新型コロナウイルス感染の影響で休校になったり、雨天による延期が続いた影響で、試合日程が大幅に変更され、大会は決勝を行わず準決勝で打ち切られることとなった。

　当初7月26日に予定されていた大阪桐蔭の初戦は8月2日まで延びた。そこからは10日の準決勝まで、勝ち進めば9日間で6試合という過密日程となっている。

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