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川又堅碁、這い上がるための「44」。
ゴールポストに激突したあの日から。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/31 11:30

川又堅碁、這い上がるための「44」。ゴールポストに激突したあの日から。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

J2第3節水戸戦で移籍後初ゴールを奪った川又堅碁。「フクアリで決めたい」とさらなる活躍を誓った。

千葉からの連絡、サッカーが楽しい。

 そんな状況で千葉から誘いが届いた。キャンプでは腕も次第に上がるようになり、コンディションも上々。当初は戸惑いもあったと話すが、何よりサッカーを心から楽しめている自分がいた。

「自分は練習生の立場だったので難しさを感じる一方で、サッカーができる喜びを感じた。やっぱり楽しいなと(笑)。振り返ると、昨年は楽しさよりも、また脱臼をしないように、悪化させないように不安と恐怖の綱渡りでサッカーをしていたんです。どんどん痛みがなくなって、ようやく怪我する前の状態に近いところまで持っていけたことでよりポジティブになれました」

 沖縄キャンプ中に正式オファーが届き、彼は晴れて千葉の一員となった。

「ジェフは練習でも走力が大事になってくるチームなので、いろんな面で成長できる。ジェフのようなJ1でずっとやってきたチームが長い間J2にいる。そこから抜け出す手助けをしたい。ジェフはJ1に上がらないといけないクラブだと思います」

 ブレイクのきっかけをつかんだ岡山時代以来となる8年ぶりのJ2開幕戦は、いきなりスタメン出場を勝ち取った。リーグ再開後はベンチスタートとなったが、第3節アウエーでの水戸ホーリーホック戦では78分に投入されると、後半アディショナルタイムに鮮やかな切り返しから左足一閃。移籍後初ゴールをマークするなど、川又のプレーは千葉のサッカーにおいて大きなアクセントとなっている。

這い上がってきた川又のサッカー人生。

「(昨季は)プロキャリアで初めて開幕戦ゴールが取れたので、このまま勢いに乗ってJ1優勝、3シーズン連続2桁ゴールを取ると意気込んでいた。周囲からの期待も感じていましたし、何より僕自身が自分に一番期待をしていたシーズンでした。

 正直、昨年は『こんなはずじゃなかった』と何度も思いましたが、逆に今は『ここから這い上がってやる』って純粋に思えているんです。僕のこれまでのサッカー人生は決して順風満帆ではなかったし、落ちてまた這い上がるのを繰り返してきた。だから、今は結果を出すことがめちゃくちゃ楽しみですし、それを生き甲斐にしています」

 この決意は「背番号44」にも現れている。シーズン開幕直前や途中での加入の場合、大きな番号を背負うことはよくあるが、川又の場合は自ら選んだものだという。

【次ページ】 「44」に込められた想い。

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